富士通研究所は6月27日、データセンターのラックあたりのサーバ実装密度を向上させる仮想サーバ(VM)制御技術を開発したと発表した。
具体的には、サーバ実装密度を高めるために、データセンター内に予備のサーバから成る区画を設け、VMの物理配置と電力消費に基づいて予備の区画にVMのマイグレーションを行うことで効率的なサーバ設置を実現する技術を開発した。
これにより、VMが動作しているラックであれば、実装密度の向上による、データセンターのスペース削減が可能となり、サーバラックの稼働効率を90%とした一例では、スペースを40%削減できることを試算したという。
開発した技術の特徴として「物理配置に基づいたVM制御技術」と「実稼働データに基づく搭載ルール設定技術」が挙げられている。
今回、データセンターの管理で標準的に利用できるAPIを用いて、サービスを展開する区画のサーバの物理配置(運用区画)と給電量に近づいた時にVMを移動させる先となる予備の区画のサーバの物理配置に関するデータベースを構築し、サーバから収集した刻々と変化する電力使用量を、サーバのシリアル番号・ラック番号と紐づけて収集・管理することで、ラックへの給電量を越えないように制御する技術を開発した。これにより、運用区画の実装密度が向上し、スペース削減を実現する。
また、あらかじめ測定した各サーバの負荷をもとに、負荷の変動が正規分布となると仮定し、ラックごとのマイグレーション頻度を統計的に予測することでラックに搭載するサーバ台数を決める技術を開発した。
例えば、30%のサーバ負荷が正規分布の中心の場合、50%の負荷の電力値に基づいた台数を搭載することで、95.5%の負荷の変動を吸収しつつ、サーバ実装密度を最大にすることができるという。
富士通研究所は2018年度中に、同技術を富士通のインフラ運用管理ソフトウェア「FUJITSU Software ServerView Infrastructure Manager」に実装する予定。