アナログ・デバイセズは6月27日、同社のスマート農業システムを利用し、茨城県鉾田市のイチゴ専門農家においてイチゴの生育環境データの可視化実証実験を完了したと発表した。なお、今回の実証実験は日本貿易振興機構(ジェトロ)から「グローバルイノベーション拠点設立等支援事業費補助金」の交付を受けて実施した。
同実験を実施した村田農園は50棟規模のビニールハウスで「村田さん家のいちご」を生育し、果実店や製菓店、ホテルなどに提供している。
イチゴ栽培における課題の1つは、生育環境計測作業の負荷が大きいことを挙げている。一定基準を満たす最高級のイチゴ生産量を増やすためには、最適な生育環境を保つ必要があるため温度や湿度、二酸化炭素濃度、照度などの生育環境データを頻繁に計測する必要があったという。
イチゴの最適な生育環境を可視化し、生産量増加を図るため、同社はイチゴの温室内に複数のIoTセンサノードを設置し、継続的に生育環境をモニタリングする実証実験に取り組んだ。また、従来は作業者が都度温室内を訪れて計測していた環境データを、自動的に計測し、PCやスマートホンで遠隔モニターできるシステムを開発。
生育環境を可視化する今回の実証実験を踏まえ、今後さらにデータを蓄積すれば、生育環境が鮮明になり、これを再現することでイチゴの生産量の増大が期待できるという。今回、得た知見を生かして同社は、小型・低消費電力で設置の容易なセンサノードを、日本のスマート農業に利用していく。
同社のスマート農業システムを国内市場に適用することで、特に就農人口の減少により消えてしまう属人的な匠の技などの農業プロセスの自動化に向けたセンサシステムの構築や、生育環境データの獲得などが望まれている。