大阪大学の三輪嗣准教授、高輝度光科学研究センターの鈴木基寛チームリーダー、東北大学の辻川雅人助教、産業技術総合研究所の野崎隆行研究チーム長、物質・材料研究機構の大久保忠勝グループリーダーらは26日、電圧により電気的に原子の形を変えることで超省エネ磁気メモリを実現する新しい原理を発見したと発表した。
本研究は、内閣府総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の佐橋政司プログラム・マネージャーの研究開発プログラムの一環として行われたもの。
研究グループは、原子レベルに制御した鉄プラチナ人工磁石を作成し、大型放射光施設SPring-8での実験と理論計算により、電圧による原子の変形が電圧磁気効果の増大につながる新原理を明らかにした。
今回の知見を活かした材料開発により将来的に現状比10倍の電圧磁気効果が可能となり、発熱を極力抑えられる瞬時の電圧による磁気反転が期待される。
本研究は大阪大学の鈴木義茂教授、松田健彰氏、田中和仁氏、塚原拓也氏、縄岡孝平博士、Frederic Bonell博士、産業技術総合研究所の湯浅新治研究センター長、高輝度光科学研究センターの小谷佳範研究員、中村哲也グループリーダー、物質・材料研究機構の宝野和博フェロー、東北大学の白井正文教授と共同で行ったもの。研究成果は、6月23日発行の英科学誌「Nature Communications」のオンライン版で公開された。