アイ・ティ・アール(ITR)は6月20日、国内の標的型攻撃対策支援サービス市場規模推移および予測を発表した。これによると2016年度標的型攻撃対策支援サービス市場は前年度比19.9%増、2017年度は同17.5%増とさらなる拡大を予測している。
国内標的型攻撃対策支援サービス市場の2016年度の売上金額は95億円、前年度比19.9%増と順調な伸びとなり、巧妙化し、かつ増加を続けている標的型攻撃に対して、早期に攻撃を発見することや感染対象の特定などの対策が一段と重要になっているという。
そのため、標的型攻撃対策製品で脅威の検知や通信状況の分析を行い、インシデント発生時には顧客に対して迅速に最適な対策支援を行うセキュリティサービスのニーズが拡大し続けている。このような背景から2017年度は前年度比17.5%増と引き続き好調な伸びが見込まれている。
ITRのシニア・アナリストである大杉豊氏は「標的型攻撃は、APT(Advanced Persistent Threat)とも呼ばれ、目的を達成するために複数の技術を多用する(Advanced)、常に新しい技術を利用して攻撃を継続すると同時に検出の妨害や回避を行う(Persistent)、情報資産に対する脅威(Threat)であり、組織化された攻撃者が行う高度な攻撃を検知することは、非常に難しくなりつつあります」と述べている。
また「昨今のインシデントの潮流は、メール対策を含めたインターネット・ゲートウェイだけの対策では不十分で、多層・多重の防御対策、および監視を実施することが重要です。2020年に向けて国内企業が攻撃の対象となる割合は、過去の海外事例などから急激に増加することが予測され、同市場の対象サービスの需要がより増していくだろう」と同氏はコメントしている。