ヤフーは6月19日、xaScaler、HPCシステムズの協力の下、ディープラーニング活用に特化した省エネ性能の高いスーパーコンピュータ「kukai(クウカイ)」を開発し、同日に発表されたスパコンの省エネ性能ランキング「GREEN500」において世界第2位を獲得したと発表した。
「kukai」は「GREEN500」において、消費電力当たりの処理性能として世界第2位(2017年6月時点)の14.04 GFLOPS/W(1ワット当たりで処理できる1秒間の演算回数)、処理性能として460.7 TFLOPS(1秒間の演算回数)を記録した。
2016年11月発表の「GREEN500」では、世界最高の省エネスパコンが9.5GFLOPS/Wを記録し、消費電力当たりの処理性能で10GFLOPS/Wを超えることが2017年上半期のスパコン業界における目標の1つとなっていたという。 今回、その目標を上回る値を記録できた背景として、「最先端の冷却技術「液浸(えきしん)」を採用」「NVIDIAの最新GPU『Tesla P100』を160基搭載」「機械学習を組み合わせた独自のチューニング理論を構築」が挙げられている。
「kukai」では空冷ではなく、電気を通さない特殊な液体に直接ハードウェアを漬け込む「液浸」を採用し、冷却効率を高めているという。
「kukai」はNVIDIAの最新GPU「Tesla P100」を160基搭載しており、「液浸」による効率的な冷却を可能にするxaScaler独自の高密度ハードウェア実装技術を用いて、GPUの効率稼働を実現している。
「kukai」の開発において、機械学習の専門家として著名な東京大学 大学院新領域創成科学研究科の佐藤一誠講師協力の下、機械学習によるチューニングを行うことで、処理効率の向上を成し遂げたとのこと。具体的な手法については今後発表される予定。
ヤフーは「kukai」を開発した理由について、「これまでは、ディープラーニングのランニングコストの負担が大きいなどの理由で、一部での利用に限られていたが、ディープラーニングによるパーソナライズ精度向上の有効性が明らかになってきたから」とコメントしている。