東京工業大学(東工大)ならびに産業技術総合研究所(産総研)は6月19日、スーパーコンピュータ(スパコン)の省エネ性能を競うランキング「Green500 List」の2017年6月版において、東工大の次世代スパコン「TSUBAME 3.0」が1位を、産総研 人工知能研究センター(AIRC)が、2017年4月より稼働を開始させたクラウド型計算システム「産総研AIクラウド(AAIC)」が3位にランクインしたことを発表した。
これは、独フランクフルトにて開かれているスパコンに関する国際会議「ISC HIGH PERFORMANCE 2017(ISC 2017)」にて公開されたもので、TSUBAME 3.0は、実際に運用されるスパコンとして日本で初めてGreen500 Listの1位を獲得したシステムとなった。その消費電力対性能は、1Wあたり14.110GFLOPSで、3位のAAICは同12.681GFLOPSとなる。
TSUBAME 3.0の特徴として、高い省エネ性能の実現を目指して設計された点が挙げられる。中でも、冷却については、外気に近い温度の冷却水を用いてGPU/CPUの直接冷却を行うなどにより、高い省エネ性を実現したとしており、冷却効率を示す指標の1つであるPUE(Power Usage Effectiveness)の値は1.033(推定値)と1.0にかなり近い値を達成している。
なお両者は、今回の成果について、産総研に2017年度導入予定の「AI橋渡しクラウド(AI Bridging Cloud Infrastructure、ABCI)」の構築に活かしていく予定としており、今後TSUBAME 3.0とAAICを相互に活用しながら、ビッグデータ活用のためのシステム連携技術や大規模データ解析技術の研究を行うとともに、運用から発生する課題をハードウェア構築技術の高度化研究を進めていくとしている。