クリックテック・ジャパンは6月16日、米Qlik Technologies(以下、Qlik)からCTO 兼 製品担当シニア・バイス・プレジデントのアンソニー・デイトン氏が来日したことを機に記者説明会を開催し、同社の2020年に向けたビジョンとロードマップを説明した。
冒頭、クリックテック・ジャパン カントリージェネラルマネージャーの藤堂正憲氏が、日本におけるビッグデータ分析の現状と課題を説明。
同氏は、「われわれは、データからストーリーを導き出し、ビジネスに生かすことができるソリューションを提供している。現在、ビッグデータはバズワードになり、テクノロジーは揃っているが、それを活用する点については、大きな課題がある」と述べ、データを分析するデータサイエンティストが不足している点な大きな課題だと指摘した。
続けて、「日経新聞によれば、データサイエンティストは25万人不足しているといわれおり、それを養成するのは不可能だ。しかも、データサイエンティストが分析しているデータは、全体の17.8%に過ぎない。そのため、ユーザー部門の人がビッグデータを分析できるようにしていくことが必要だ。BIツールは普及しているが、本当に活用できているのかといえば、そうなっていない。そこにわれわれのチャンスがある。ビッグデータのラストワンマイルを実現していくのがQlikだ」と語った。
続いて登壇したアンソニー・デイトン氏は、2020年に向けてのQlikのビジョンやロードマップを説明した。
まず、同社のビジョンについては、「これまではオンプレミスデータを扱ってきたが、最近は、データレイクデータ、クラウドデータも使われており、これらすべてのデータをQlikを介してユーザーに見てもらう。また、オンプレミスやクラウドだけでなく、ユーザーがPCの中で保存しているデータやセンサーデータなど、エッジ部分やモバイルデバイスデータもターゲットにしていく必要がある。今後は、モバイルやプリント出力、さらにはWebアプリや組み込みもサポートし、ユースケースすべてに応していく」と述べた。
そして、今後はこれらのビジョンを実現するため、同社の強みをさらに強化する投資を行っていくという。
同社の強みについてアンソニー氏は、「われわれの強みは、エンドユーザーに権限を委譲しながら、ITのガバナンスを効かせていけることだ。また、製品をつくるのではなく、われわれはプラットフォームを提供しており、APIをオープンにすることに投資も行っている。さらに、われわれのエンジンは連想モデルになっていることも強みだ。そのため、データに潜むストーリーを解き明かすことができる」とアピールした。
将来に向けてのロードマップについては、「データの場所はそのまま」「真のハイブリッドクラウドプラットフォーム」「BIからAugmented Intelligence(拡張知能)へ」という3つのテーマで機能拡張を行うという。
「データの場所はそのまま」については、Associative Big Data Indexing(連想ビッグデータインデクシング)という機能を搭載していくという。この機能は、分散型のアーキテクチャで、増分インデックスによりデータの場所はそのままで、関連クエリとスピードの最適化を行うものだという。
「真のハイブリッドクラウドプラットフォーム」については、「オンプレミスからクラウドへのシフトが起こっているが、これまでは、オンプレミスかクラウドかという『OR』の選択であったが、今後は『AND』に変えていく。それが、われわれのハイブリッドクラウド戦略だ。これまで、32ビットから64ビットへ、仮想化からクラウドへといったプラットフォームのシフトが起こったように、今後はマイクロサービスやコンテナへの移行により、ワークロードの拡張が起こる。われわれは、その移行カーブに合わせて投資を行っていく。それが、われわれのハイブリッドビジョンにつながっていく」と説明した。
そして、「BIからAugmented Intelligence(拡張知能)へ」では、同社のプラットフォームのAugmented Intelligenceを搭載していくという。この機能についてアンソニー氏は、「これまでのBIは一部のユーザー向けにマニュアル作業が必要なツールを提供してきた。AIについても、一部のデータサイエンティストのために提供されてきた。われわれは、人工知能を多く人の手に届けていく。それがAugmented Intelligence(拡張知能)だ。これは、人間に代わって機械が意思決定するのではなく、人間がよりよく意思決定できる拡張知能で、認知規則エンジンとして追加していく」と語った。
この機能は、ユーザーの関心に応じて、レコメンドしていく「InsightBoard」や、データパターン、紐付け、データ連想を見つけ出す「Data Swarm」として追加される予定だ。
これらの機能は、特定の製品ではなく、プラットフォームの低い階層の中に追加され、パートナーもAPIを通して利用可能になるという。実装されるのは、1年後を目処にしているという。