シーメンスPLMソフトウェアは6月19日、都内で同社の3D CADソフトウェア「Solid Edge」の最新バージョンとなる「Solid Edge ST10」を国内向けに提供を開始するに当たって、メディア向け説明会を実施。新規に搭載された機能や強化された機能の説明などを行った。
日本におけるSolid Edgeはこれまで、基本的に代理店を通して提供していく形態を維持してきており、今後もそれは変わらない。一方で月額課金制のサブスクリプションの導入を2013年以降提供してきており、こちらも個人事業主を中心にアクティブなライセンス数を伸ばしてきたという。
こうした市場背景を受けて、Solid Edge ST10について同社メインストリーム・エンジニアリング・ソフトウェア グローバル・ポートフォリオ戦略 アジア・太平洋ビジネス開発担当バイスプレジデントを務めるセイティアム・ゴー(Say Tiam Go)氏は、「昨今の業界トレンドであるファセットモデリングの重要性を理解し、デジタルツインの推進に向け、ST10の活用が、すべてを次の段階に引き上げることが可能になる」と、その立ち居地を説明するほか、「中堅・中小企業(SMB)の顧客がデジタルエンタープライズを実現できるようになるツール」とも説明。一歩先の製品開発を支援する環境が構築されたことを強調した。
具体的には、以下の6つのポイントで新機能実装・機能強化が施されたという。
- Design:次世代の設計環境
- Simulation:ビルトイン解析ツールで「流れ」を可視化
- Manufacturing:CAM、3Dプリンタとのインテグレーションによりスマートな製造を実現
- Technical Publications:インタラクティブ・デジタル化・連想性のある技術文書の作成
- Data Management:データの大きさに関わらない完璧なデータ管理
- Solid Edge Portal:コラボレーションの新しい形
特に設計環境としては、アディティブ・マニュファクチャリング(付加製造)やジェネレーティブデザイン(位置最適化)、3Dスキャンによるリバースエンジニアリングといったメッシュモデルと、B-REP(境界表現:Boundary Representation)の連携を強化。「アディティブ・マニュファクチャリングという素晴らしい手法を、これにより生かすことが可能になる」(同)とする。
また、Solid Edge Portalでは、さまざまな人たちとのコラボレーションを推進するクラウドベースのソリューションで、PCやスマートフォンなどのWebブラウザ上で3Dデータを閲覧することを可能とするほか、SolidWorksといった他社データフォーマットも手軽に扱うことが可能となっている。
なお、同社では、国内提供に向け、日本語化対応も進めており、本格的な製品の出荷については、2017年夏ごろになる見通しとしている。