米Amazonは6月16日 (現地時間)、グルメ食料品スーパーを展開するWhole Foods Marketを買収することで合意したと発表した。AmazonはWhole Foods Market株1株あたり42ドルの現金を支払い、引き受ける負債額も加算した買収総額は約137億ドルになる。買収手続きにはWhole Foods Market株主や規制当局からの承認を得る必要があり、順調に進んだ場合、今年下半期に完了する見通しだ。
Whole Foods Marketは、小規模な自然食グローサーリーショップだったSafer Way Natural FoodsとClarksville Natural Groceryが合併して、1980年にテキサス州オースチンに第1号店をオープンした。自然食品、オーガニック食品を中心に、ユニークな輸入食品やワイン、食材や味にこだわった総菜コーナーを設け、安全な食を求める層がリピーターになって、短期間で全米に店舗を拡大した。現在の店舗数は、米国(444店)、カナダ(13店)、英国(9店)の合計466店。米Appleが米国でApple Payを開始した時にいち早く対応し、またオンデマンド型のグローサリーショッピング・サービスInstacart (スマートフォンで注文、一般の契約スタッフがローカルストアで買い物をして届けてくれる)をサポートするなど、新しいテクノロジーやサービスの導入にも積極的だ。
米Amazonはオンラインストアを通じて食品・日用品を販売する「Amazon Fresh」を2007年に開始し、また昨年に米ワシントン州シアトルに食料品スーパー「Amazon Go」を実験的にオープン、そしてドライブスルー型の「Amazon Fresh Pickup」も開始するなど、オンラインストアを中心にネットとモバイル、実店舗の融合を進めている。それに対して、米ディスカウント大手のWal-Martが食料品販売とネット事業を強化し、実店舗を持つ強みを活かしながらAmazonに対抗していた。Wal-Martが地方や中所得よりも低い層に浸透しているのに対して、Whole Foodsは都市部の比較的所得の高い層を主な顧客としている。
発表によると、買収完了後もWhole Foodsはこれまでと同様に「Whole Foods」ブランドで事業を継続。Safer Way Natural Foodsを創業し、今もWhole Foods MarketのCEOであるJohn Mackey氏がCEOとして会社に残る。