新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、同機構の「中堅・中小企業への橋渡し研究開発促進事業」において、丸共水産と北海道立総合研究機構が、北海道の地域海洋資源から抽出したコンドロイチン硫酸を用いて、ヒトの消化管における吸収性を大幅に高めた糖鎖オリゴマー(商標名:ナノ型コンドロイチン)を開発し、マイクロ化学プロセス処理技術を応用した量産技術を確立したことを発表した。

開発された糖鎖オリゴマー製品(商標名:ナノ型コンドロイチン)(出所:NEDO Webサイト)

主に動物軟骨から得られるコンドロイチン硫酸やヒアルロン酸などの糖鎖は、ウロン酸とアミノ糖の2糖繰り返し単位が長くつながった構造を持つ、直鎖状の多糖類である。さまざまな生理活性を持っていることから古くから利用され、近年では医薬品や栄養補助食品として広く利用されている。しかし、これらは特殊な酵素を用いなければ分解されないため、ヒトの消化管ではほとんど消化吸収されず、その機能性が十分に発揮されていなかった。

研究グループは、このような多糖類をヒトの消化管で吸収できるサイズに低分子化し、吸収性を大幅に高めることによって、少ない量でより優れた効果が得られる糖鎖オリゴマーを開発し、さらにマイクロ化学プロセス処理技術を応用し、糖鎖の大量生産技術を確立した。

得られた糖鎖オリゴマーは、マウスを使った自己免疫疾患に対する抗炎症効果、およびヒト介入試験によるロコモティブシンドロームの改善効果などが認められているという。

これらの成果をもとに、丸共水産は消化管での吸収性に優れた糖鎖オリゴマー(商標名:ナノ型コンドロイチン)の商業生産を開始する。生産された糖鎖は、栄養補助食品や化粧品材料、医療用素材として活用される見込みだ。また今後、糖鎖オリゴマーの持つ機能性を探求し、新たな機能性食品や医療用素材としての研究開発を行っていくとしている。