トヨタ自動車は6月15日、モータースポーツの安全研究を統括する団体「Global Institute(GI)」と、実際の事故における傷害発生のメカニズムをコンピュータ上で解析できるバーチャル人体モデル「THUMS(サムス:Total HUman Model for Safety)」を用いたモータースポーツ競技における安全性の向上に向けた共同研究プロジェクトを開始したことを発表した。

衝突安全実験などではダミー人形が良く用いられているが、脳や内臓といった人間の体内に、どういった衝撃が加わるのか、といった分析は難しいことから、トヨタではTHUMSを用いることで、そうした解析を進めてきており、こうした取り組みは一般車両のみならず、FIA InstituteやNASCAR(National Association for Stock Car Auto Racing)からの依頼を受けてレースドライバーの受傷要因の解析なども行ってきたという。

今回の共同研究は4年間の予定で、レースカーだけでなくラリーカーの衝突も含めた幅広いモータースポーツ競技における衝突事故を研究の対象としており、研究を通して、レースカーやラリーカーのシート構造やシートベルト配置などの見直しの検討につなげたいとしている。また、GIでは、この研究結果をもとにレギュレーションのアップデートなど、モータースポーツ車両の安全性向上につながる施策を検討していく予定としている。

左がTHUMS、右がTHUMS WECモデル(TS050)