三菱マテリアルの加工事業カンパニーは、切削加工ユーザーの技術サポートを目的に、切削工具の総合的なソリューションを提供するとともに、オープンラボとしての機能を併せ持つ「中部テクニカルセンター」を岐阜製作所内に新設し、稼働を開始したと発表した。
同センターは、CAM/CAE解析・シミュレーション、切削試験、切削工具の選定とその利用技術の支援(ツーリング支援)、教育研修といった切削工具の総合的なソリューションを提供するもので、総投資額約15億円をかけて新設された。2010年にさいたまオフィス内に開設した加工技術センターでは、これまで切削加工ユーザーに対し、最新の工作機械、測定・分析機器、ソフトウェアを駆使して、同社が長年培ったノウハウ、技術が提供されてきた。その経験を活かし、中部圏及び西日本の顧客に向け、国内第二の技術サポート拠点として同センターが新設されるということだ。
同センターでは、高精度マシニングセンター、複合加工機、自動盤など、それぞれ仕様の異なる14台の最新加工設備を導入している。切削加工ユーザーの相談により、部品の材質、形状および使用の工作機械を踏まえた切削加工のCAM/CAE解析・シミュレーションを行うことで、部品毎の加工方法を提案するとともに、要望に応じて加工条件を展開し、ユーザー立会いのもとで切削試験を実施することも可能となっている。航空宇宙産業や自動車産業をはじめとした様々な産業分野で活用が拡大しているCFRP(炭素繊維強化プラスチック)等の「複合材料」加工専用の設備も導入している。また、標準工具だけでは解決できない加工や、よりユーザーニーズに適した加工を行うための工具開発・ツーリング支援も併せて実施することにより、最適かつタイムリーに製品・サービスを提供できるとしている。
また、同社は、切削加工ユーザーへの技術サポートの拠点として国内・海外(アメリカ、スペイン、中国、タイ)でテクニカルセンターを展開しており、中部テクニカルセンターの新設に併せて、加工技術センターのソリューション提供部門を東日本テクニカルセンターと変更した。東日本テクニカルセンターでは、2016年6月より切削理論の基礎から応用、工具損傷改善、トラブルシューティング、各種装置使用によるライン改善など幅広い分野での技術の伝承を目的とした「切削アカデミー」を開催しており、中部テクニカルセンターにおいても、この「切削アカデミー」を展開し、最先端の技術、技能、ノウハウを切削工具ユーザーの技術者に体系的に伝承する人材育成の場も提供していく予定だ。