顧客満足度の向上とロイヤルカスタマーの醸成を実現し売上拡大・収益性の向上に寄与するCRMに加え、ユーザーからの問い合わせや商品注文の窓口となるコールセンターの善し悪しはビジネスを大きく左右する。5月に開催された2017 Japan IT Week春では、健康食品のTV通販等でおなじみの"やずや"が出展しており「最新鋭のCRM」「やずやの通販力を貴社へ」と掲げられたブース外観を目の当たりにした。正直な感想を告白すれば「何故ここに?あの"やずや"が?」と頭に大きなクエスチョンマークとともに、その理由が知りたく好奇心が駆り立てられた。
ブース内のセミナー会場ではステージイベントが開催されるたびに数多くの来場者がその内容に耳を傾けていた。やずや40年の歴史から導き出された通信販売のノウハウが詰め込まれた「やずや通販CRM基幹システム」のプレゼンテーションは特に人気を集めていた |
こちらは「やずや通販CRM基幹システム」のWebサイト。やずやは、通信販売という事業において年商30億円を超えるには大きな壁を乗り越えなければならないと考えており、その壁を打ち破る一助に本システムはなるのだという |
やずやブースで紹介されていたのは、やずや40年の通販文化の集大成とも呼べる「やずや通販CRM基幹システム」。このシステムは、少数の社員で数多くの顧客をおもてなしできるよう設計されており、システム等の専門知識のない現場社員がスムーズにストレスなく利用できるよう工夫されているという。
また、きめ細やかにお客さまとのコミュニケーションが行えるよう、会話の順番が画面に表示される、お客さまの手元にあるチラシや販促資料がどのようなものなのかわかる、などお客さま情報を一元的に見ながらコミュニケーションを図ることができる。なかでも驚かせてくれた機能が、お客さまのご自宅の天気まで表示していること。
説明員によれば「この天気、一見必要のない情報にも思えますが、天気をフックに会話を弾ませることができる」のだという。今日はいい天気ですね。暑い日が続きますがお身体にお変わりありませんか?普段の生活のなかでも、これらの言葉をかけられれば誰だって悪い気分にはならない。なるほど、こういった細かな部分にもやずやのノウハウが活きているのだろうなと実感させられた。
もうひとつ興味を惹かれた展示が、「やずや流現場管理術」と題されたコンタクトセンター向けのシステム開発サービスだ。コールセンターの状況を瞬時に把握できるよう視認性を高め、リアルタイムでオペレーターの状況を掴むことが可能なフロアマップシステムは、品質向上、売上向上、コスト削減に寄与するという。ひとりのオペレーターが何分お客さまと会話しているのか、どんな内容での問い合わせなのかが瞬時に認識できるうえに、オペレーターからのヘルプを求める意思表示といったオペレーターとスーパーバイザーとの意思疎通がカンタンに行える。そのことにより、モニタリングフォローしたい案件やトラブルに対して即座に対応できるようになり、購入継続率の向上や後処理時間の短縮にも効果を発揮するとのこと。
各座席に座るオペレーターの氏名、内線番号、着信している番号、通話時間などがひと目で確認できる。コールセンターの規模により机の配置等が異なるしレイアウト変更なども発生する可能性があるが、自分で画面内のレイアウトを変更することもカンタンに行える |
当初「何故ここに?」と感じていた筆者ではあったが、自社のビジネスを拡大させるために築いてきた基幹システムの“痒いところに手が届く”細やかな機能、お客さまとのコミュニケーションの窓口となるコールセンター業務を円滑かつ最適な“おもてなし”ができるよう工夫されたシステムから、なるほど確かにITだ、と得心させられた。