Boxは6月9日、都内で「Box World Tour Tokyo 2017」を開催。同イベントには米国本社から来日した共同創業者兼CEOのアーロン・レヴィ氏がオープニングキーノートを行った。会場では同社とスポンサー企業がブースを展示していたほか、導入事例をはじめとした各種セッションを実施した。
冒頭、レヴィ氏は「われわれは2005年にモバイルデバイスの普及、クラウドコンピューティング、コネクティビティの3つのトレンドに注力するため創業し、グローバルで7万5000社の顧客基盤を有している。現在、デジタルプラットフォームにより、すべての業界が変革を余儀なくされており、変革を遂げた企業としてAirbnbやNetflix、Amazonなどが挙げられる。産業革命からデジタル時代に変遷する中で企業は、変革が必須となるが、容易なことではなく、さまざまな課題が存在する」と指摘。
そのような状況を踏まえ、同氏は従来の働き方と新しい働き方を比較し「ウォーターフォール型プロセスにはアジャイル、水平統合には拡張型エンタープライズ、コマンドとコントロールにはベストアイデア、人中心のプロセスにはデータ駆動型プロセス、複数年の製品サイクルには継続的なイノベーション、コストセンターとしてのITには成長ドライバーとしてのITが新しい働き方になる。個別に課題に対応するのではなく、抜本的に仕事のやり方を変え、デジタル事業として運営・運用していかなければならない」と、説明した。
また、レヴィ氏は現在のトレンドとして「リモートワーク、AI、クラウドの3つが挙げられる。リモートワークは即座にすべての情報にアクセスし、適切な判断をした上で共用することができるリアルタイムのコラボレーションが必要であり、国境を越えてパートナー・取引先と仕事が簡単に進めなければならない。また、AIについてはインテリジェントなプロセスを提供し、より良い意思決定に導いてくれる。クラウドに関しては、生産性向上と収益を拡大するために移行する必要があり、ITが成長ドライバーとなるために従来のプラットフォームではなく、無限にスケールアップすることができるオンデマンドなテクノロジーが不可欠だ」と強調する。
そこで、同氏は「デジタル時代に成功するためには、あらゆる企業がデジタルカンパニーになることが肝要だが、多くの企業は情報の管理と共有のために従来のツールやプロセスが足かせとなっている。これは、ファイル共有からEメール、物理メディア、コンテンツマネジメント、ファイル同期と共有、基幹業務アプリとカスタム開発と断片的に進化してきたテクノロジーが存在し、複雑なテクノロジーにより、プラットフォームが分断されている。そのため、変革を進めていくためには1つのプラットフォームですべてのコンテンツの連携や開発を可能とするツールが必要となる」と訴えた。
同氏は「われわれは過去12年間、コンテンツマネジメントの『Box』を提供しており、企業における重要な情報の共有化を支援してきたほか、あらゆるアプリケーションと連携させることができ、セキュリティを担保することを可能としている」と説く。
今後、同社が目指すべき場所として「最もシンプルにユーザーが共有・管理するような世界を実現していきたいと考えている。それを実現するためには、コミュニケーションやコラボレーションをリアルタイムで提供することに加え、ワークフローをシームレスな形で提供する。また、重要な案件の可視性、AIを活用したインテリジェントなコンテンツ、リモートワークを実現していく」と同氏は話す。
さらに「エンタープライズに向けてはスマートセキュリティ、高度な情報ガバナンス、可視化とレポート機能により社内外の全体像を把握するためビッグピクチャーを提供する。開発者には、すべてのツールやアプリケーションが活用できるようにしていく。われわれはスタートしたばかりだが、顧客の働き方を変革したいと考えており、現在はテクノロジーの歴史の中でもエキサイティングな時代に生きている。イノベーションは止まることはなく、多くの変革に直面し、管理・対応しなければらない。われわれの使命は組織・企業に対して、ビジネスをデジタル的に管理し、さまざまなチーム、パートナー、顧客と世界中どこでも協力できるようにすることだ」と、最後にレヴィ氏は締めくくった。