日立製作所は6月12日、顔認証機能を搭載した新型の呼気アルコール検知器を試作し、日立キャピタルオートリースと実証実験を開始すると発表した。同社の3営業所社員を対象に、検知器の機能・性能の検証や課題抽出を目的として実証実験を行うことで、信頼性およびユーザビリティの向上を図り、実用化を目指すという。
同社は、飲酒運転による事故撲滅を目指し、2016年3月に本田技術研究所と共同でポータブル呼気アルコール検知器を試作した。どこででも検査でき、人間の呼気かどうかを判別して不正利用を防止する機能を備えていたが、検査の際になりすましが可能であることや、各ドライバーの検査結果を一元管理できないという課題があった。そこで今回、なりすまし防止や検査データの一元管理を可能とする機能を開発し、本実証実験を行うに至った。
新型の検知器は、バッテリーや関連回路を削減することで、従来の約3分の1サイズに小型化した。スマートフォンへの取り付けが可能になり、さらに、検知器と連携可能なアプリケーションを開発し、顔認証機能が使用可能となった。使用者は、検知器をスマートフォンに取り付けてアプリを起動し、アルコール検査と同時に顔画像を取得する。その後、運転席にスマートフォンを設置して再度ドライバーを撮影することで、アルコール検査者とドライバーの画像とを照合して本人確認を行う。これにより、なりすましの防止に貢献する。
また、呼気アルコール検査結果を検知器からスマートフォンに送信し、集計するアプリケーションも開発。ドライバーの安全管理者は、集計した検査時刻、アルコール検知の有無、端末IDなどのログデータをスマートフォンやPCに取り組んで確認できるようになり、管理業務の効率向上や、遠隔地でのアルコール検査の管理が可能になるという。