エネルギー・マネージメントシステム(EMS)開発に取り組む会津ラボと、エネルギー事業を展開するエナリスは6月9日、「ブロックチェーンを活用した電力取引サービス」の共同検証を進めていくと発表した。これは、福島県が実施する「再生可能エネルギー関連技術実証研究支援事業」に採択され、両社はブロックチェーンを活用した電力取引などの実証事業を福島県内で実施する。

実証実験で用いるシステムの概要

再生可能エネルギー関連技術実証研究支援事業は、福島県が県内の民間企業などを対象に東日本大震災後に新たに研究開発を進めてきた再生可能エネルギー関連技術について、その事業化・実用化のための実証研究事業を支援する取り組み。

経済産業省・資源エネルギー庁が主導する「福島新エネ社会構想」においても、国、県、関連企業が官民一体となって、エネルギー分野で福島の復興の後押しを強化し、福島から次世代エネルギー社会のモデルを創出することが期待されているという。

共同実証事業では、福島県内(福島市、会津若松市、いわき市、郡山市、本宮市、そのほか沿岸部被災地)の一般家庭に協力を得て、コンセント型スマートメーター「スマートタップ」を配付・設置し、各家庭の電力データを分散型台帳技術ブロックチェーン基盤「いろは」に記録してモニタリングを行う。その状況下で、模擬の節電要請を行い、各家庭の家電を遠隔操作することにより、電力抑制・遮断するテストを実施。

サービス提供イメージ

電力需給が逼迫する中で、家電を制御することにより起こる事象や、分散台帳の整合性確認に要する時間が電力取引に与える影響など、ブロックチェーンの有効性を実証する。さらに、電力データを活用した見守りサービスなどの安全で快適なくらしをサポートするサービスも提供し、サービスの利用開始に必要となる契約など一連の手続きをブロックチェーン上で行う仕組みも検証する。期間は6月~2018年2月末まで。

各社の役割として、会津ラボが家庭向けスマートタップの設置・管理、ブロックチェーンを活用した家庭向けアグリゲーター・システム構築、エナリスがブロックチェーンを活用した上位アグリゲーター・システム構築、DRの実施、ブロックチェーンと連携した見守りサービスなどの提供を想定している。なお、本実証事業には会津大学技術実証アドバイザリーとして参画する。