富士通は6月8日、川崎重工業の航空宇宙カンパニーにおける航空機の生産現場でのIoTを活用したスマートファクトリー化の実現に向け、航空機機体生産の進捗管理を支援する生産情報活用基盤システムの試行開発に参画すると発表した。

生産情報活用基盤システムの概要

同システムは、航空機機体製造におけるリアルタイムな進捗管理の実現を目指し、RFIDを活用して生産対象品の移動情報をイベントデータとして収集し、ダッシュボードやBIツールにより目的に応じて進捗状況を表示可能な情報基盤で「データ収集」「データベース」「データ表示」3つのサブシステムで構成されている。

データ収集は、航空機部品や冶具などにRFIDを貼付し、生産現場でのモノの位置情報を収集。収集データは、新たなデータ項目が追加されても柔軟に拡張することが可能なJSON(JavaScript Object Notation)形式で記述され、川崎重工業のデータセンター内のデータベースにイベントレコードとして蓄積される。

データベースについては、構造データを扱うRDB(Relational Database)に加え、多種多様で膨大な量の非構造データを効率的に扱うことのできるNoSQLデータベースの両方に対応し、データセンターで一元的に管理。作業工程の名称や適正在庫水準などのマスターデータは、RDBに保存し、位置情報や入出庫などのデータが含まれるイベントレコードは、NoSQLデータベースに保存する。これらのデータを目的に応じて加工・分析し、表示用のデータを生成するほか、生産管理を行う既存のERPシステムとの双方向のデータ連携にも対応するという。

データ表示に関しては、BIツールを活用し、生産現場の管理者や作業者がリアルタイムに進捗管理を行うための画面やユーザーエクスペリエンス(UX)を考慮した生産現場の概況が一目で分かるダッシュボート画面も提供する。富士通は、川崎重工業、および川崎重工グループの情報システム子会社であるベニックソリューションと技術の研究開発を支援する川重テクノロジーと連携し、同システムの開発・導入を支援する。

今後、川崎重工業は2017年内に航空機部品を生産する岐阜工場の一部を対象に、生産情報活用基盤システムの展開を予定しており、その後は航空宇宙カンパニー.の国内工場、海外工場、協力会社へと順次展開を図り、スマートファクトリー化の実現を目指す方針だ。