広島大学は、虫歯菌、歯周病菌、カンジダ真菌に対して抗菌性がある「L8020乳酸菌」の研究成果と、同乳酸菌を活用して開発された口腔内ケアの商品を発表した。
同研究および商品開発は、広島大学大学院医歯薬保健学研究科の二川浩樹教授と、UHA味覚糖の共同研究によるもので、6月1日に東京都のキャンパス・イノベーションセンターで発表された。
「L8020 乳酸菌」は、虫歯の罹患歴のない健常者の口腔内より分離されたラクトバチルス・ラムノーザスに分類される乳酸桿菌であり、虫歯菌、歯周病菌、カンジダ 真菌に対して抗菌効果を示す。この「L8020 乳酸菌」で発酵させたヨーグルトを用いたヒト試験では、2週間、毎昼食時に摂取した場合、虫歯菌と歯周病菌4種を口腔内から有意に減少させることを報告し、2010年11月に四国乳業からL8020ヨーグルトとして製品化された。
その後、二川教授は「L8020 乳酸菌」の発酵物に含まれる抗菌物質(バクテリオシン)の kog1, kog2 を特定し、その機能を報告してきた。この抗菌物質には虫歯菌、歯周病菌、カンジダ真菌に対して高い抗菌性を示すだけでなく、歯周病と全身疾患に関わる歯周病菌の持つ毒素(LPS)に対する不活性化作用もあることがわかった。この内容については、第53回日本小児歯科学会大会2015などで発表された。
今回開発された、L8020乳酸菌を活用した口腔内ケアの商品について二川教授は「タブレットにすることにより抗菌性がより強くなります。お口の中の健康は全身の健康につながります。高齢者に多い誤嚥性肺炎は、口腔内の微生物による口腔性肺炎です。障がい者や高齢者などの口腔内の健康を保つものになればと期待します。」とコメントしている。
なお、同商品は、三井物産が2013年よりスタートさせた知財ビジネスの第一弾案件であり、広島大学の「L8020 乳酸菌」に関する特許を活用したビジネス創出に注力したものとなる。UHA味覚糖へのライセンス活動を、広島大学および同大学発ベンチャーのキャンパスメディコと共同で行なっているということだ。