ジュニパーネットワークスは6月5日、記者説明会を開催し、米国本社の最高経営責任者(CEO)を務めるラミ・ラヒム氏が事業戦略を説明したほか、新たなセキュリティ・ソリューションを発表した。
CEO、クラウドビジネスへの注力をアピール
ラヒム氏は、2017年第1四半期のハイライトとして「クラウドビジネスへのフォーカス」「好調なサービス事業」「好調なスイッチング事業」「売上の伸び」を挙げた。
クラウドビジネスについては、「投資家はクラウドにどのように取り組んでいるかを注目している。通信、エンタープライズの分野に加えて、クラウドにフォーカスしている」という。
スイッチング事業においては、データセンター向けのQFXファミリーが対前年比50%以上の伸びを見せており、サービス事業においては対前年比14%増で伸びており、メンテナンスサービスに加えてアセスメントサービスも強化していくとした。
事業戦略としては、短期では「クラウド・トランスフォーメーションに注力」し、長期では「分散型クラウド分野でリードし、サービスとしてのセキュリティ・ネットワーキングを強化」する。
こうした戦略を実現するため、「パブリック/プライベートクラウドのデータセンターの構築」「ユーザー/デバイスを5G/モバイルサービスやクラウドに接続」「分散型クラウドの構築」「SaaSプロバイダーになる」を推進する。ラヒム氏は、同社のクラウドへのコミットをアピールした。
「パブリッククラウド、プライベートクラウドの双方を提供できるベストなプロバイダーになることを目指しているが、実際に成功している。また、通信業界の顧客はクラウドのデリバリーにシフトしていくことが求められているため、サポートしていきたい」(ラヒム氏)
国内はサービスプロバイダー、データセンター/クラウドに注力
日本市場への取り組みついては、ジュニパーネットワークスの代表取締役社長を務める古屋知弘氏が説明した。
古屋氏は、日本のネットワーク市場は「通信インフラ」「セキュリティ」「クラウドへの移行」「自動化」「IoT」という5つの分野において「明るい」と語った。
「動画の利用が増えると、トラフィックが増加するためインフラの増強が必要となるほか、オリンピックや5Gの推進に向け、通信インフラへの投資が見込まれる。また、数年といった早い時期ではないが、今後サービスプロバイダーがクラウドに移行していくことが予想される。」(古屋氏)
また、日本市場においては「サービスプロバイダー」「データセンター/クラウド」「エンタープライズ/公共」にフォーカスするという。
これらのマーケットに対し、「ソフトウェアを切り離して、ハードウェアを動かすことができるオープンなアーキテクチャによるソリューションを提供する」と、古屋氏は同社の製品のオープン性を強調した。
セキュリティについては、ネットワークを面ととらえ、「Software-Defined Secure Networks(SDSN)」というセキュリティ・プラットフォームに基づき、ソリューションを提供していく。
SDSNを強化 - シスコ製スイッチ、Azure/Hyper-V上のvSRXに対応
ジュニパーネットワークス 技術統括本部 統括本部長を務める加藤浩明氏は、新ソリューションについて、「『SDSN』を強化するものであり、防御範囲の拡張とランサムウェアの検知・防御する能力の強化が行われた」と説明した。
具体的には、ポリシー実行エンジン「Junos Space Security Director Policy Enforcer」が強化されて、シスコシステムズなどのサードパーティー製のスイッチに対するエンフォースメント実行機能を提供できるようになった。
また、「Policy Enforcer」と仮想ファイアウォール「VMware NSX」が「VMware NSX」に対応することになり、プライベートクラウドのセキュリティ機能を提供する。
一方、ランサムウェア対策としては、クラウドベースのマルウェア対策サービス「Juniper Sky Advanced Threat Prevention」にメールを分析する機能が搭載された。機械学習により、脅威のリサーチやインテリジェンスが強化されるとともに、メールのトラフィック分析により、さらに多くのマルウェアをとらえて拡散を防止する。