日本マイクロソフトは6月1日、パブリッククラウド「Microsoft Azure」 の日本データセンター基盤を拡張し、128コアCPU、3.8TBメモリを搭載する仮想マシン「M シリーズ」と、SAP HANA用にチューニング(最大960CPUスレッド、20TBメモリを搭載)した専用ハードウェア サービス 「SAP HANA on Azure (Large Instances)」を、いずれも12月末まで提供すると発表した。
同社は、2017年1月より最大32コアCPU、0.5TBメモリを搭載した仮想マシン「G シリーズ」を提供しているが、大規模基幹業務システムをMicrosoft Azure上で展開することを支援するため、「M シリーズ」と「Large Instances」を東日本リージョンおよび西日本リージョンで提供する。両リージョンで提供する理由は、ディザスターリカバリー用途と、より拠点に近いデータセンターを利用したいというニーズを考慮したためだという。
仮想マシン「M シリーズ」は、大きなメモリと多くのCPUコアを要求される大規模基幹業務システムのワークワードに対応。課金は分単位となる。
一方の「SAP HANA on Azure (Large Instances)」は最大960CPU、20TBメモリを搭載した SAP HANA 用にチューニングされたベアメタルサービスで、SAP HANA Enterprise Edition OLTPアプリケーション (SAP S/4HANA) のシングルノードで最大20TBのメモリ容量に対応、SAP HANA Enterprise Edition OLAP アプリケーション (SAP BW/4HANA) のマルチノード デプロイメントで最大60TBまでメモリのスケールアウトに対応する。こちらは年単位の契約になる。
また、このサービスでは99.99%の稼働率を保証するSLA (Service Level Agreement) を提供する。
米マイクロソフト コーポレートバイスプレジデント Microsoft Azure team Jason Zander氏は、今回、SAP HANA用のサービスを拡張する理由について、「多くの企業がSAP HANAを導入し、クラウドへの移行も進めている。そのため、この2つの環境をあわせたいと思っている。多くの企業がミッションクリティカルな業務にクラウドのパワーを活用することで、デジタルトランスフォーメーションを加速できる。今回の機能拡張によって、他のベンダーより優れた、一番のパフォーマンスとスケールを提供していく。とくにオンデマンド環境は、開発やテストで使えるものだ。SAP HANAにはたくさんのメモリが必要なもの、スケールアウトができるものの2種類が求められているが、われわれは両方サポートしていきたいと思っている。Large Instancesは、これまでのパブリッククラウドの中で最大のインスタンスをサポートする。SAPとは20年以上のパートナーシップがあり、多くの共通の顧客がいる。また、パートナーエコシステムをともに構築している。そのため、SAPのハイパフォーマンス環境をAzure上に置くことが有用であると考えた」と説明した。
また、日本マイクロソフト 業務執行役員 クラウド&エンタープライズビジネス本部 本部長 佐藤久氏は、今回のサービス拡張について、「最近は基幹システムをクラウドで使うことに抵抗がなくなってきている。クラウドを利用することによって、セキュリティ、サイジング、ハードウェアのコスト、人件費、開発・テスト環境、災害対策、グローバルオペレーションなど、エンタープライズのお客様が抱えていた課題を解決できる。Auzreは、40のデータセンターリージョン、SLA(99.99%)、柔軟なスケーラビリティと従量課金、コンプライアンス/セキュリティ、ハイブリッド対応など、エンタープライズのお客様が必要な機能を一番最初に提供するベンダーになりつつある。Azureを通じてスタンダードを提供していきたい」と述べ、従来の目標(250社)を上方修正し、今後3年間で400社にAzure上でのSAPアプリケーションの採用・導入を目指すとした。