各ジャンルのイベントの集合する「Japan IT WEEK 春 2017」のなかで、初開催となる第1回 店舗ITソリューション展の会場入口には一際目立ったチルトトレイ式ソーターが展示してあった。創業100周年という長い歴史を持つ企業「椿本チエイン」のブースだった。
椿本チエインは、2017年4月で創業100周年を迎える大阪に本社を構える老舗メーカー。100周年特設サイトにその沿革が掲載してある。1917年、自転車用チェーンを作る企業として創業した後、産業用チェーン製造への転換を図った。動力を堅固に伝える大切な産業用チェーンだが当時は、海外製のチェーンばかりであったという。そこに光明を見出し、わずか10年で事業完全に移行を達成。現在では、船舶用ローラチェーン、生産ラインを担うコンベヤチェーン、食品業界向けにプラスチックチェーンなど、あらゆる業界に合わせたチェーンを製造し、産業用チェーンにおいては世界トップのシェアを誇る。
チェーン事業部門以外にも自動車エンジン用タイミングチェーンなどの自動車部品事業部門や変速機、電動シリンダ、カムクラッチなどの精機事業部門も手掛けるほか、マテハン(material handling)事業部門にも進出。物流業界向けのリニアモーター式高速自動仕分システムや、新聞業界向けの無人給紙システム、自動車業界向けの塗装ライン搬送システムなど革新的なソリューションを多く開発しており、こちらも高いシェアを誇っている。そんな椿本チエインがブースに展示する製品は、狭いスペースでも設置可能なチルトトレイ式ソーターだ。小型店舗でも設置可能な3.5m×7.2mというサイズは多段構造により実現している。ユニットを最小の30シュートに縮小すれば、25平方メートルのスペースに設置できる。また、同社のチルトトレイ式ソーターの技術を応用、リニアモーター駆動で仕分け能力はR300タイプで最高で6000個/時を実現、高い消音性、省エネ性も持つ。キャスター式で簡単に設置や移設が可能だ。
担当者によれば、「今までは大規模な倉庫業向けの仕分システムを開発してきたが、スペースが小さい所でも使いたいという要望があり二段式にして小型にした同製品を開発した」とのこと。今回の出展については、「倉庫内で大量に荷物を仕分けなければならないお客様は、今とにかく人手が足りずに困っている。」とそのニーズの高さを教えてくれた。同社のマテハンサイトには、RFIDに対応してサービス向上を行うビームスの物流センターや関西で菓子卸業を行うMDホールディングスグループの46時間工事で設置し、出荷能力を向上させた事例など大きく生産性を高めている事例も豊富だ。増加する工場や店舗の後ろで物流を支えるソーターシステムの小型化に期待が寄せられる。