半導体市場動向調査企業である米IC Insightsは5月24日(米国時間)、2017年の車載IC市場は前年比で22%成長し、史上最高の280億ドル規模に達するとの予測を発表した。
クルマに搭載されるエレクトロニクスの比率は年々向上し、電子システムとその上で動作するソフトウェアの重要性が高まってきている。中でも運転手の快適さと利便性を増し、運転手を安全に保つための警報、検知、そして操舵を自動的に修正するための電子システムは、その搭載数を増やしてきている。これらの電子システムは、エンドユーザーからの強いニーズに支えられているほか、各国政府の搭載義務付けなどによる場合もあるが、そうした動きを受けて、そこに搭載されるメモリやロジックICの販売価格が上昇してきており、車載IC市場の売上高も上昇しそうな勢いを見せているという。
車載IC市場は近年、市場拡大を続けてきており、2014年に同11.5%増、2015年に同2.5%減、2016年に10.8%増と比較的高い成長率を維持している。2015年のマイナス成長は、主にマイコン、アナログIC、DRAM、フラッシュ、汎用および専用ロジックIといった主要車載ICの販売価格が低下したことによるもので、出荷数量は伸びたものの、価格下落がそれを相殺した結果である。
その反動も含め2016年後半には、新しい自動車システム向け需要とともに、着実に車載ICの販売価格が上昇、2016年の車載IC市場は2桁の成長率に戻っており、2017年も、DRAMとフラッシュメモリの価格急騰もあり、市場成長率は22.4%にまで高まることが見込まれるという。ちなみにIC Insightsでは最近、2017年の半導体市場全般の動向を見直しており、DRAMの平均販売価格は前年比50%増、NANDも同28%増となるとみているほか、自動車専用ロジックデバイスも同34%増と高騰すると予測している。
車載ICは、2020年には全ICのうち10%を占める市場に成長
マイコン、アナログ半導体、標準ロジック、およびメモリICなどの車載ICは、2016年の最終用途カテゴリ別内訳では全体の約8%を占めていたが、IC Insightsでは2020年に10%以上に増加すると予測しており、車載半導体が、「通信」および「コンピュータ」に続く、第3位の最終用途カテゴリになるとしている。
なお、IC Insightsでは高度なドライバーアシスタンスシステム(ADAS)が2020年までに車載ICの最大のアプリケーションになると予測しており、現在、採用が進んでいるさまざまなADASシステムが、そうした2020年代に提案されるであろう半自律型および完全自律型車両の基本的なビルディングブロックになるものとしている。