テラデータは5月23日、都内で記者会見を開き、ハイブリッドクラウド戦略に対応したソフトウェア・ライセンス・モデルの提供開始や次世代統合データウェアハウス・プラットフォームを強化した「Teradata IntelliFlex 2.0」、エントリーレベルのデータ容量や分析ニーズに対応する「Teradata IntelliBase」の追加などを発表した。

同社では、クラウドを含む複数のプラットフォーム上に柔軟にTeradataの超並列処理分析データベースを導入することができるコンセプトとしてTeradata Everywhereを掲げている。

同コンセプトでは、Amazon Web Services、Microsoft Azureなど複数のパブリッククラウド、VMware 仮想化ソフトウェア上に構築するプライベートクラウド、オンプレミス用プラットフォームのTeradata IntelliFlex、Teradata マネージドクラウドサービス「Teradata IntelliCloud」などのプラットフォーム上で、顧客のビジネス規模や用途に応じて、システムのリソースを活用できるハイブリッドクラウドを実現しているという。

柔軟なクラウドの導入を可能とするソフトウェア・ライセンス・モデル

ソフトウェア・ライセンス・モデルは、オンプレミスと複数のクラウド間でTeradataデータベース・ソフトウェアを、利用期間や用途に応じて選択、移行、拡張、再構築することを可能とし、顧客はビジネス・ニーズの変化に迅速かつ効率的に対応することを可能とし、4つのグレードで提供する。

日本テラデータ 代表取締役社長の吉川幸彦氏

日本テラデータ 代表取締役社長の吉川幸彦氏は、ソフトウェア・ライセンス・モデルについて「顧客がクラウドの導入を容易にするために提供を開始する。特徴としてはポータビリティ性、オンプレミスとクラウド間でソフトウェアライセンスの移行が可能なほか、各種ソフトウェア機能をバンドルした『Developer』『Base』『Advance』『Enterprise』の4つのグレードを備え、ユースケースに応じた利用期間・環境を選択できる。これにより、初期投資を最小限に抑え、サービスとしての継続性やデータウェアハウス(DWH)の導入が可能になる」と述べた。

ソフトウェア・ライセンス・モデルの概要(左)と特徴(右)

Developerは、主に開発およびテスト環境向けに新しいアプリケーションを開発する顧客向けに設計されており、パブリック・クラウド環境かVMware環境下において利用が可能で無償提供する。Base(日本国内ではオンプレミスのみの提供)は同時実行処理要求の低い、エントリーレベルのデータウェアハウス向け、Advanced(同)は同時実行処理要求の高い混合ワークロード環境向けとなり、Teradata Integrated Workload Management機能とTeradata Intelligent Memory機能を搭載。

Enterpriseは、ワークロード管理機能(Teradata Active System Management機能とTeradata Intelligent Memory機能)を搭載したハイエンド・グレードで、オンプレミスとクラウドで利用できる。

クラウドへの対応を強化したオンプレミス製品

米テラデータ・コーポレーション マーケティング シニア・バイス・プレジデントのクリス・トゥーグッド氏

米テラデータ・コーポレーション マーケティング シニア・バイス・プレジデントのクリス・トゥーグッド氏は「調査によると、2020年までに90%の企業はオンプレミスとクラウドの両方にアナリティクスを展開するほか、85%はas-a-serviceとしてアナリティクスを導入したいと考えている」と、今後ハイブリッドクラウド環境がアナリティクスの領域でも拡大していくことを示唆した。

同社は、オンプレミス製品とした2016年にSSDストレージに対応したMassively Parallel Processing(MPP:超並列処理)アーキテクチャのフラッグシップ・プラットフォームであるIntelliFlexを発表している。今回、同製品を強化したIntelliFlex 2.0に加え、ハイブリッドクラウドを構成する新製品としてIntelliBaseを追加した。

同氏はIntelliFlex 2.0について「SSDの低価格化により、ハードウェアを使うテクノロジーから移行することが可能となったため100%メモリーベースのSSDプラットフォームとなり、データベースノードの中はデュアル18コアIntel Xeonプロセッサを搭載し、CPUはストレージとは独立した形でスケールアップできる。また柔軟なシステム拡張やデータセンターの簡素化にも貢献する」と話す。

これによりIntelliFlex前機種と比較し、演算集約型分析の処理パワーが最大7.5倍、データウェアハウス分析パフォーマンスが同4.5倍、データセンター・コストの削減使用電力(kW)あたりのパフォーマンスを同2倍に向上させたことに加え、データ容量を同3.5倍拡張したという。

「IntelliFlex 2.0」の概要

一方、IntelliBaseはHDDドライブを搭載し、データセンターに適した低コストの単一キャビネット内に複数機能をパッケージ化して提供する。Teradata Database、Teradata Aster Analytics、Hadoopに対し、同社による包括的な単一ベンダーサポートも提供すると同時にQueryGrid、Unity、Data Mover、Ecosystem Manager、Viewpoint、Listenerなどのアプリケーションを使用できるTeradataエコシステムをサポート。

さらに、ソフトウェアの再イメージング機能により、異なるテクノロジーを再デプロイすることでコスト削減に貢献するとしている。両製品は、いずれも2017年第2四半期から提供開始を予定している。

「IntelliBase」の概要