ランサムウェアの被害が世界各地で広がっている。あらゆるレイヤーで大切なデータをバックアップすることの重要性を思い知らされるが、ランサムウェアに限らず、故障や事故から天災など事業継続性にデータのバックアップと迅速なデータリカバリーは欠かすことのできない備えだ。Japan IT WEEK 春 2017でもこれらソリューションが展示されていた。大容量ストレージのバックアップ・リカバリーソリューションを展開する「ストレージクラフト テクノロジー」のブースをレポートしよう。

「ストレージクラフト テクノロジー」ブース全景

今回、同社が展示した製品は、「StorageCraft ShadowProtect SPX」とオブジェクトベースのスケールアウトNAS「EXABLOX OneBlox 4312 Appliance」の2つだ。

ストレージクラフト テクノロジー公式サイト

「StorageCraft ShadowProtect SPX」は仮想・物理マシン上のWindows、Linuxの混在環境にも対応し、昨年のBest of vmworld 2016のデータプロテクションGoldAwardを受賞したバックアップ・リカバリーソリューションだ。スケジュール設定やリモート監視、バックアップイメージの簡易実行テスト環境を備え、本当の危機へのリカバリーの迅速性も高めている。

ついつい忘れがちなディザスタリカバリーや日常データのバックアップなど、重要なデータがデジタル化していく中で企業活動においては、事業継続性に関わる重要な分野だ。ランサムウェアは、PC端末をロックすることでその解放に金銭を要求するクライムウェアだが、近年のデータの重要性を反映してここ数年世界各地で猛威を振るう。最近ではWannaCryによる大規模なキャンペーンが世界各地で発覚している。瞬時にして拡大、猛威を振るった従来のワームとランサムウェアというデータ制御を奪う機能を併せ持つ新たな危機であると各セキュリティベンダは警鐘を鳴らすと同時に、バックアップ&リカバリーの備えを強調している。

一度完全にデジタルデータが消滅してしまえば、バックアップ無しには再現できない。拡大するデジタル化では、復旧できないことが原因で再現できなくなる事業も当然増える。また、データが膨大になればなるほど、バックアップデータの再現性が繊細に求められる。スナップショットなどファイルシステム再現の技術はもちろん、OSやイメージファイルなどが混在したデータを着実に再現できる技術が求められる。ストレージクラフトは、世界各地でデータプロテクションをソリューションとして展開するが、日本でも長らくShadowProtectシリーズをはじめ、この課題を追求している企業だ。

「StorageCraft ShadowProtect SPX」デモ。担当者によれば、サーバーバックアップの価格をおよそ半額に近い値下げを断行しており、非常に多くの反響が得ることができたという

もう一つの展示品が、同社の関係企業であるEXABLOXのオブジェクトベースのスケールアウトNAS「EXABLOX OneBlox 4312 Appliance」だ。今年1月に同社が買収したエグザブロックスは、オブジェクトストレージベースでNFSやSMB/CIFSプロトコルでアクセス可能なNASアプライアンスOneBloxシリーズを持つ。高いスケーラビリティを誇るOneBloxとShadowProtectを併せ持つ同社は、デジタルデータの価値が高まるなかで、継続性からデータマネジメントまで広くデータが持つ価値をビジネスシーンに訴求していく。

「EXABLOX OneBlox 4312 Appliance」の展示品。デモ用サンプルの上の人形は、ストレージクラフトのオーストラリア法人がノベルティとして作成したもの。名前はまだ無いそうだ。今回のブースの至る所に登場していた