Japan IT WEEK 春 2017(5月10日から13日に開催)。今年も数多くの最先端技術が披露されるこのイベントの模様をレポートする。今回、ビッグデータ活用展の中から"グローバル"、"予測分析"、"リアルタイム"の3つのキーワードでSAP製品を使ったビッグデータ活用ソリューションを紹介していたJFEシステムズをのぞいてみた。
今回、JFEシステムズは"ビッグデータで企業経営にデジタル革命を"をテーマに、同社の製品をそれぞれ「グローバル」、「予測分析」、「リアルタイム」の3つのカテゴリーに分けてアピール。ブースの半分以上スペースをセミナー用に確保しており、同社の社員による熱心なセミナーが随時行われていた。
セミナーで紹介されていた製品は、グローバルのカテゴリーでは、同社のビジネスインテリジェンスツール「SAP BusinessObjects」とグローバル企業向けエンタープライズBI/DWH「KPIMart」。予測分析のカテゴリーでは、予測分析ソリューション「SAP Predictive Analytics」。リアルタイムのカテゴリーでは、リアルタイム経営を実現する「SAP S/4HANA」、プラットフォームに依存しないDWH専用DB「SAP IQ」などだ。SAP社のゴールドパートナーでSAP社製品も多く扱っている同社のサービスに興味のあるユーザーが多数、訪れていた。
展示ブースでは、同社の社員による丁寧な製品の説明が行われていた。担当者によればマーケティングの結果、“グローバルなデータを見たい”、“手元のデータをより解析したものを見たい”、“とにかく早く見たい”という3つの要望が見えてきたのだという。そこから3テーマを抽出しているのだ |
今回、同社が展示していた製品は、「SAP BusinessObjects」などの経営分析支援ツールの数々。企業などの法人がその活動を継続的に行えるのは、商品やサービスの原価から人事、財務会計までそのリソースを計画的に管理するためだが、SAPはERP(Enterprise Resource Planning)などエンタープライズソフトウェア分野で世界各国、業種や業界により異なる経営のリアルタイム分析をいち早く手がけてきた。
SAPが提供するBIツール「SAP BusinessObjects」は各事業の業績を1画面で表示、画面からパラメータを入力することで詳細な収益シミュレーターを見せるDashboardsから、要約画面から詳細なデータへとドリルダウン、分析観点の切替から問題発見をするスライス&ダイス分析機能などの詳細分析、レポート作成に用にドラッグ&ドロップで設定を変え、グラフやチャート展開も可能なアドホック分析が可能になるWeb IntelligenceなどERPやCRM、RDBMSや各種ファイルからのデータを経営層や各部門レベルに必要なインテリジェンスへと変革させるBIプラットフォームだ。
SAP AWARD5回の受賞実績を誇るJFEシステムズは「SAP BusinessObjects」日本語化を手がけるなど製品との関わりも深く、導入実績も豊富だ。同社のソリューション「KPIMart」では、「SAP BusinessObjects」を使ってSAPデータ抽出、テーマ別データマート作成、経営ダッシュボードからBIレポートまでの基本機能をパッケージ化して提供している。
また、「SAP BusinessObjects」に機械学習エンジンを搭載する「SAP BusinessObjects Predictive Analytics」も展示してあった。データ準備作業からモデル構築、検証作業まですべてが自動化されている「SAP BusinessObjects Predictive Analytics」では、手動設定はほとんどないがデータサイエンティスト向けには「R」を使ったカスタムコンポーネントなどオープン化された無数のアルゴリズムから複雑な分析モデルを構築する機能も備わる。
JFEシステムズはERPを中核に業種トータルソリューション、業務ソリューション、インフラソリューションを中心としたソリューションを展開しているユーザー系SIerだ。1983年川崎製鉄(現JFEスチール)の情報システム部門から独立、システム部門やシステム企画部の統合などを経て現在に至る。2003年の日本鋼管と川崎製鉄統合、JFEスチール誕生時には、片寄せ型ではなく両社が持つシステム課題を解決すべく全面再構築に挑み、2006年にデータ量約10TB、開発ステップ数約2,000万の新統合システム「J-Smile」の構築も完遂している。
担当者によれば、「データウェアハウス事業を始めて15年、BIツールも当初は、社内データの可視化が主要な目的だったが、ここ十年でデータの種類が増え、データも人間が入力するデータからセンサーで得られるデータや外部が提供するデータを活用するようになり、データの深い分析が必要とされる方向に変わってきている。当社は、それをずっと追い続けているおり、その結果、同社事業の方向性が見えてきた」と流れの早いデータ活用分野での"幹"とも言える方向に手応えを感じているようだった。