富士通と1QB Information Technologies(以下、1QBit)は16日、量子コンピュータ技術を応用した、組合せ最適化や機械学習などのAI(人工知能)分野における協業を開始したことを発表した。両社は今後、量子コンピュータのために開発されたAI技術を応用し、顧客の課題を解決するアプリケーションを開発していくとしている。
1QBitは、4年間にわたり、機械学習、サンプリング、最適化問題などさまざまな問題を量子コンピュータで解く新規技術を開発してきた。これらの技術を用いて、金融やエネルギー、先端材料、ライフサイエンスなどの分野で高性能アプリケーションを提供することに注力している。
一方、富士通は30年以上にわたって蓄積してきたAIに関する知見および技術を、「Zinrai」として体系化し、顧客のAI活用を支援するプラットフォーム「FUJITSU Cloud Service K5 Zinraiプラットフォームサービス」として提供している。
今回の協業により、1QBitが開発した量子コンピュータ向けソフトウェアを、富士通研究所とトロント大学が開発した従来の半導体技術を用いて、組合せ最適化問題を高速に解ける計算機アーキテクチャー「デジタルアニーラ」で実行する環境を共同で構築するとしている。
また、富士通は協業の成果として、Zinraiのクラウドサービスである「FUJITSU Cloud Service K5 Zinraiプラットフォームサービス Zinraiディープラーニング」のオプションとして、2017年中に提供していくとのことだ。
なお、富士通のハードウェア技術と1QBitのソフトウェア技術とを融合させることで、複雑かつ大規模な最適化問題を解くことや高度な機械学習が実現可能になるとし、金融や生命科学、エネルギー、小売流通をはじめとする、さまざまな分野顧客の業務変革、新規ビジネスの創出に貢献していくとしている