米Dell Technologiesは、5月8日~11日(現地時間)、米ネバダ州 ラスベガスで「Dell EMC World 2017」を開催したが、今回のDell EMC Worldでは、クラウドに対するメッセージが多く聞かれた。そこで、ゼネラルセッションとブレークアウトセッションでの幹部のコメントをまとめてみた。

同社のクラウドの戦略の中心はアプリケーションだという。そして、同社ではクラウドで動作させるアプリケーションを、ミッションクリティカル、汎用、Cloud-Nativeの3つに分けて考えているという。

Dell EMCではクラウドで動作させるアプリケーションを、ミッションクリティカル、汎用、Cloud-Nativeの3つに分けて考えているという

これについて、5月8日の基調講演で、Dell EMC プレジデント デビッド・ゴールデン(David Goulden)氏は、次のように説明している。

Dell EMC プレジデント デビッド・ゴールデン(David Goulden)氏

「クラウドではアプリケーションのことを考えないとだめだ。クラウドでは汎用なアプリに重きを置いている。また、Cloud-Nativeなアプリもある。しかし、我々が重点を置くのは、ミッションクリティカルなアプリケーションで、クラウドで稼働させることなど、考えたこともないアプリだ。こういったものは、専用のハードウェアの仮想化環境で動かしている。我々には、すべての環境において、ハイブリッドクラウドの戦略がある」

そして同氏は、この3つの領域を稼働させる部分と管理の部分に分け、それぞれにDell Technologiesのポートフォリオがどう対応するかを説明した。

「クラウドインフラをアプリケーションを稼働させる部分と、環境管理の部分の2つに分けると、VMwareはすべての環境でアプリを稼働させるところでリーダーだ。また、汎用アプリの管理の部分では『VMware vRealize Suite 』を提供している。我々は、基幹系アプリの管理で特別なアプリを作った。これがVirtstreamの中で動いている。PivotalはCloud-Nativeなアプリの管理を提供する。アプリは分散型、スケールアウト型などアーキテクチャが違うため、特別なソフトが必要だ。汎用アプリのオフプレミス向けには、『EMC Enterprise Hybrid Cloud』(EHC)がある。これはすぐに使えるIaaSだ。オフプレミスは多くのサービスプロバイダがおり、パブリッククラウドを提供している。EHCはSoftlayerやAWS、Azureなど、さまざまなクラウドと連携できる」

「基幹系の管理には、マルチテナントのパブリッククラウドのVirtstreamの『xStream』というソフトウェアがある。Virtstreamは従来のパブリッククラウドが実現できなかった高いセキュリティと経済性を実現する。また、今回Virtstreamでヘルケア向けのサービスを発表する。これは医療アプリ向けのものだ。さらに今年は、Virtstreamのハイブリッドクラウド向けのソリューションも発表する。これはオンプレミス用のもので、Virtstreamのパブリッククラウドとシームレスにつながる。Cloud-Nativeなアプリ開発者向けには、Pivotal Cloud Foundry開発者プラットフォームを使用したNative Hybrid Cloudという開発環境がある。これらによってすべてのアプリに対応する」

3つの領域のポートフォリオ

また、5月9日に行われたクラウドストラテジーに関するブレークアウトセッションの中でDELL CMO Jeremy Burton氏は同社のクラウド戦略について、「クラウドには、オンプレミスのプライベートクラウドのほか、パブリッククラウドもある。そこで、ハイブリッドクラウド向けには DELL EMCのインフラの上にVMwareのソフトをパッケージにして提供している。これによって、すぐにエンタープライズ型のハイブリッドクラウドを提供できる。これはエンジニアリングソリューションだ。また、プライベートクラウドをハイブリッドクラウドに移行するためにはサードパーティとパートナーを組んでいる。そのため、AWSやIBM SoftLayerとリレーションシップを結んでいる。これによってオンプレミスからのワークロードの移行を可能にする。さらに、Virtstreamのマルチクラウドのために、EHCのVirtstream版を作った。そのほか、3つの領域には規模の小さいさまざまなパートナーがいる。それによって、包括的に提供できる。これが我々のクラウド戦略だ」と説明した。

DELL CMO Jeremy Burton氏

Virtustream CEO Rodney Rogers氏

また、同じセッションの中で、ミッションクリティカルなアプリをクラウドで動かすという点について、Virtustream CEO Rodney Rogers氏は、「私たちがやっているミッションクリティカルなアプリをクラウドで動かすという取り組みは、新しい市場だといっていいだろう。今後ビジネスとして成立するか考えないといけない。この市場は200~300億ドルの市場になると見ている。それはクラウド市場の2割ほどだが、我々はそこをターゲットにする。規制が厳しい業界がターゲットだ」と語った。