サイレックス・テクノロジーは、2017年5月10日から12日にかけて、東京ビッグサイトにて開催されている「Japan IT Week 春 2017」内の「第6回 IoT/M2M展」において、高速DFSアクセスポイントのデモや、途切れないアクセスポイント技術を活用した工場の非常停止ユニットなどの参考出展を行っている。

高速DFSアクセスポイント「AP-511AC」は、イグニッションデザインラボ(IDL)と協力して開発が進められているDFS帯域の有効活用に向けたもの。5GHz帯のDFS帯域は、気象レーダーや航空レーダーが優先され、その帯域の利用においては、無線LANとして使用する前に1分間、レーダーが利用していないこと、万一レーダー波を検知した場合、即座位に当該チャンネルの使用を取りやめ、別のチャンネルに移動すること、さらに移動したチャンネルも1分間の間、レーダー波が検知されないこと、といった制約が存在しており、無線LANルータの中には利用できなくしているものも存在している。

IDLでは、こうした課題を解決することを目指したルータ「Portal」を開発してきたほか、2017年4月には、Wi-Fi通信から独立したDFS帯域の監視機構を専用に持つモジュール「Portal Boost」を製品化。AP-511ACは、サイレックスの無線LANルータとPortal Boostを組み合わせた製品で、1分間の通信無し時間を設けずに、即座にシームレスなチャンネル移動ができるゼロウェイトDFSを実現しているほか、レーダー波の検出状況や、2.4GHz/5GHzの全チャンネルの負荷状況などをクラウドに送信、ビッグデータ解析を行うことで、時間帯に応じた最適なチャンネル切り替えなどを可能としており、標準仕様環境下であれば、既存ソリューションに比べて10~20倍ほど、ネットワークの効率を向上させることが可能になるという。

IDLのDFS帯域における高速アクセス技術の概要。平行して複数のチャンネルをレーダー波がないか確認しているため、レーダー波が検知されても、瞬時に別チャンネルに移動することを可能としている

また、クラウド上に蓄積されるデータは自分のみならず、すべてのユーザーであり、干渉によるレーダー波の誤検出であったり、といったことも判定することも可能となっているという。

参考出展されている高速DFSアクセスポイント「AP-511AC」のデモ機。下が無線LANルータの親機で、上の小さな四角い箱状の赤いインジケータが点灯しているのが「Portal Boost」

すでにモジュールレベルでの認証は取得済みとのことだが、まだ社内での評価が進められている段階とのことで、製品としての提供は今年の秋になる予定だという。

同社ブースでは、Windows 10 Red Stone2(Creators Update)において標準機能として搭載されたMA(MEDIAAgnostic)-USBに対応したUSBデバイスサーバのプロトタイプ機(左)のデモや、ワイヤレス非常停止ユニット(右)なども見ることができる

マクニカとクアルコムをつなぐ架け橋となるサイレックスブース

このほか、サイレックスは、クアルコムブースアットマークテクノのブースの記事でも取り上げたCSRmeshのデモに参加しており、人感センサと2台の照明モジュールが置かれている。これらはクアルコムブースの別のモジュールとつながっているほか、マクニカとクアルコムの各ブースに置かれているCSRmeshのモジュールをつなぐための中継点としての役割も担っている。

とはいえ、いずれも置かれているだけ、といった状態で、説明が乏しいのは、せっかく面白い試みだけに、いささか残念といったところ。一応、説明用のパネルに「詳細の説明はクアルコム社のブースで行っています」と小さく書かれているが、もう少し各社ブースに説明図を配置するとか、スタンプラリー形式にして各社ブースを行脚してもらうといった方法も考えられただけに、ぜひ次回は会場スペースが広くなるという話を聞いた(2018年は東京ビッグサイトの西1-2ホールが会場になる予定ようだ)ので、より進化した姿と協力ブースの増加を期待したいところである。

サイレックスブースに置かれているCSRmeshデモ機。左が人感センサ、中央と右が照明モジュール