コニカミノルタは4月19日、3月にベルリンで発表した企業向けIoTプラットフォーム「Workplace Hub」の国内ローンチイベントを開催した。イベントにはコニカミノルタ 代表執行役社長兼CEOの山名昌衛氏、シスコシステムズ 代表執行役員社長の鈴木みゆき氏、SAPジャパン 代表取締役会長の内田士郎氏らが登壇した。
Workplace Hubとは、オフィスのITインフラを1つに統合する画期的な企業向けITプラットフォーム。一般オフィスのみならず生産現場や医療、教育機関など、さまざまな業種、規模の職場における顧客の業務のデジタル化を見据えて設計されており、企業のITインフラ(ツール、サービス、装置など)をより効率的かつ効果的に管理することができるという。
「Workplace Hub」が提供する4つの価値とは
コニカミノルタ オフィス事業部WPH事業部長の高山典久氏は「Workplace Hubが提供する具体的な価値は、ITサービスのワンストップ提供、プロセス自動化による生産性の向上、コラボレーション・リモートワーク、意思決定支援の4点だ」と語る。
ITサービスのワンストップ提供では、IT人材・ノウハウ不足やコスト負担・管理負担、セキュリティ不安などの課題に対し、必要となるIT基本機能を包括的に提供するAll-in-One IT、管理機能、セキュリティ対応、月額サービス課金といった価値を提供する。これにより、IT投資が重要と認識しつつも取り組めていない企業に対して各種IT機能や管理、応用サービスまでを提供し、最新のIT技術の導入・活用を支援していく。
プロセス自動化による生産性の向上に関しては、多大な作業工数やヒューマンエラー、経営判断の遅れなどを、工数の削減、データ認識、例外処理、経営情報の反映をはじめとした価値で対応する。帳票処理など提携業務をAIで自動化し、非連続な生産性向上、スピード・品質の向上による経営判断の迅速化を支援。
コラボレーション・リモートワークの拡大では、長時間の業務拘束、女性活用・ダイバーシティ拡大の遅れ、クリエイティブな業務の少なさなどの課題があるという。Workplace Hubは、オフィスへのリモート接続、組織・場所・言語を越えたチームコラボレーションを提供することで、いつでも・どこでもコラボレーション可能な環境を提供し、働き方改革につながるリモートワークや、知的生産性の拡大を促進させるとしている。
また、リモートワークの際に、Workplace Hubと接続するWorkplace Spokeを用意。ストレージ機能やプロジェクター機能、カメラ機能、スピーカー機能に加え、指紋による個人認証機能などを持たせることを検討。また、PCとの通信についてはWi-Fiなどを想定している。
意思決定支援については中期的に取り組むものとなるが、社内データが活用できないことに対し、社内データ群の集約・統合、API化、アナリティクス、オフィス環境の最適化、社内で誰が何を知っているのか、などの価値を提供する。これにより、オフィス内のアナログ・デジタル、定型・非定型データを収集・分析することでインサイトを発掘し、意思決定支援に発展させていくという。
一方、ベルリンにおける発表ではマイクロソフト(Office 365、Azure、Dynamicsとの連携)、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE、ハードウェア開発)、ソフォス、英Canonical、オーストリアのBraintribeとの協業を発表していたが、今回は新たにシスコシステムズと、SAPがグローバルパートナーに加わった。
シスコシステムズとはコラボレーション、セキュリティ、フォグコンピューティングの領域での連携、SAPとは各種業務ソリューション、IoTポートフォリオ「Leonardo」との連携にそれぞれ取り組む方針だ。
Workplace Hubである理由
コニカミノルタ 代表執行役社長兼CEOの山名昌衛氏は「IoTの時代を迎え、われわれは製造業の企業として、さまざまなデバイスがつながるエッジ型のIoTプラットフォーム『Workplace Hub』を提供し、ソフト・サービスの領域にハードの進化を加える」と、意気込みを語る。
そして、同氏は「単にモノとモノをつなげることが目的ではなく、働く人、生活する人などの課題を解決する。われわれのエッジコンピューティングはクラウドの連携により、リアルタイムデータ処理とプライバシー・セキュリティ対応、クラウド上のデータ量・通信量削減といった価値を提供していく。構造化データ、非構造化データをWorkplace Hubにインプットし、課題解決につなげることで、全体の生産性を可視化・分析し、非連続な生産性の向上を実現する。また、セキュリティの担保や自動制御、行動解析、意思決定の判断など付加価値も大切であると同時に、ワークスタイル変革(リモートワーク)、コラボレーションといったクリエイティブな側面も大事なことだ」と述べた。
なぜWorkplace Habなのか、この点について山名氏は「これまで培ってきた光学分野、画像分野、材料分野、微細加工分野の技術融合と、グローバルにおける200万社の顧客基盤、そしてビジネスイノベーションセンター(BIC)が有する顧客・パートナー連携の3つの強みがあるからだ。われわれが目指すビジネスは情報システム部門を持たない中小・中堅企業に加え、大企業のグループワークとなり、深い課題、ワークフローを洞察したいと望む製造業、ヘルスケア、リーガルといった業種業態の顧客を対象としている」と説明した。
また、同氏は「Workplace Hubを提供していくために、今後もさまざまなアプリ・サービスを手がけるIT企業などとエコシステムを形成していく。各パートナーが提供している顧客価値、サービス、ソリューション、アプリをWorkplace Hub上で活用すること全体が成立する」と話しており、IoT市場を狙う同社の動向が注目される。