米国の大型土星探査機カッシーニが土星の輪をくぐり抜けて大気の画像を撮影することに成功した、と米航空宇宙局(NASA)が27日発表した。

画像1 カッシーニが捉えた土星の渦状の大気(提供・NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute)

画像2 土星の輪の内側に向かうカッシーニの想像図(提供・NASA)

画像3 カッシーニが捉えた遠く離れた地球(中央やや左上部の白い点)(提供・NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute)

NASAによると、カッシーニは土星の大気から約3,000キロ離れた場所を通過、氷やちりでできているとされる輪に約300キロまで接近しながらくぐり抜けた。公表された画像は、カッシーニが土星の輪を通過する際に捉えた大気で、渦状になっている。NASAはカッシーニが捉えた土星の輪のかなた遠く14億キロも離れた地球の画像を21日に公表している。

カッシーニは高さ約7メートル、幅約4メートル、重さ約6トンの大型土星探査機で、1997年10月15日に米フロリダ州のケープカナベラル空軍基地から打ち上げられた。金星や地球、木星上空でスイングバイを繰り返して2004年6月に土星上空に到達。土星の新たな衛星を発見したほか、古くから知られる衛星タイタンに小探査機を着陸させてタイタンには地球のように川や海があることを明らかにした。

また、衛星エンケラドスに関する貴重なデータを地上に送り続け、NASAは2014年4月に「エンケラドスの分厚い氷の下には海が存在して微生物が存在する可能性がある」と、また今年4月には「海から水素が噴出しており、原始的な生物存在の環境になっている可能性がある」などとそれぞれ発表している。

数多くの観測成果を残したカッシー二は今後も土星の輪を22回探査しながら最後の観測任務(グランド・フィナーレ)を続けた後9月15日に土星の大気圏に突入、打ち上げ以来20年近くにわたった探査を終える。カッシー二は、太陽から遠く離れて太陽光が弱い土星まで飛行するために動力源にプルトニウム電池を搭載した。このため当時反核団体の批判も浴びたが、世界約80カ国の一般市民約61万人が土星への夢を託して寄せた署名も積んで飛行、観測を続けた。

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