台湾TSMCは4月13日、2017年第1四半期(1~3月)の業績発表を行い、その席上にて、劉徳音(Mark Liu)共同CEOが、2017年のファウンドリ市場の成長率の見通し従来の7%から5%に下方修正したことを明らかにした。ただし、TSMC自身の売上高(ドル換算)については5~10%成長を維持するとの見通しを示しているほか、2017年の半導体市場全体の成長率についても、メモリ製品の需要が予想を上回っていることを踏まえて、3%から7%へと上方修正している
同社がファウンドリ市場の成長率を下方修正したのは、スマートフォンおよびPCの在庫調整が2017年上半期の間、継続していくとみているためだと同氏は説明している。ただし、TSMCに限って5~10%の成長としているのは、今秋発売される予定である次世代iPhone向けプロセッサ「A11」の売り上げが下半期から寄与することを期待しているためだろうと台湾の業界関係者は見ている。複数の市場調査会社が2017年の半導体産業全体の売り上げを軒並み前年比で2桁成長へと上方修正しているが、それは主にメモリ価格の高騰と増産によるもので、ファウンドリはその恩恵を受けることはなく、スマートフォンやPC市場の減速の影響をもろに受けることになるためのようだ。
EUVは2018年の7nm生産から導入
また同社の財務を担当する何麗梅 財務長は、2017年第2四半期(4~6月)の業績について、上述の在庫調整や中国のスマートフォン市場が不需要期に当たることなどから、第1四半期に比べマイナス8~9%と、伸び悩むとの見解を示している。
このほか、先端プロジェクトを担当する魏哲家 共同執行長は、新竹科学工業園区(竹科)および中部科学工業園区(中科)の両拠点で最先端となる10nmプロセスによる製造を始めており、下半期には売上高全体に占める10nm製品の割合が10%を超えるものとの予測を述べている。また、次世代露光技術であるEUVも2018年に予定している7nmプロセスの生産から導入を開始するほか、2019年第2四半期より5nmのパイロット生産を、翌2020年に量産を開始する計画であることも明らかにしている。