村田製作所は、3つの周波数帯域を分岐でき、無線回路で用いることでアンテナ数の削減して機器の小型化に貢献するスマートフォン向けのハイブリッドマルチプレクサ「LMTP3Pシリーズ」を開発した。4月より量産を開始している。
近年、スマートフォンの通信速度向上のため、LTE通信方式においてキャリアアグリゲーション技術やMIMOアンテナシステムの導入が進んでいる。
LTEの通信周波数は、ローバンド帯域(698~960MHz)、ミドルバンド帯域(1427~2200MHz)、ハイバンド帯域(2300~2690MHz)の3つに分類されており、複数の周波数帯域を同時に利用するキャリアアグリゲーションにおいては周波数帯域ごとのアンテナが必要となる。加えて、複数の送受アンテナを用いて通信速度の向上を実現するMIMOシステムが搭載されると、必要なアンテナ数が増えて無線回路が複雑化してしまうという課題があった。
このほど同社が開発したスマートフォン向けのハイブリッドマルチプレクサ「LMTP3Pシリーズ」は、積層セラミックスとSAWフィルタの特徴を融合させた同社の独自技術により、急峻な高減衰特性と広帯域の通過特性の両立を実現している。
また、ローバンド帯域、ミドルバンド帯域、ハイバンド帯域の3つの周波数帯域を受動回路により分波することができるため、キャリアアグリゲーションにおいてアンテナ数の削減を実現する。これにより、複数のアンテナを必要とするMIMOシステムでは設計面積の確保につながり、機器の小型化に貢献するということだ。
なお、サイズは縦3.5×横3.5×厚さ最大0.9mm、LTE,GSM送受信用途に対応する。