マイクロソフトは今年の2月から3月にかけてアジアの14か国・地域の会社勤務のビジネスパーソンを対象に、企業が2020年に向けた「働く」環境の準備について調査し、「Microsoft Asia Workplace 2020 Study」(回答者数:日本の313人を含む4,175人)をまとめた。日本は他のアジアに比べて、デジタル化とそれに伴う働き方に対応できていないこと、そして「働く」環境についてデジタル化が進んでいない傾向がみられた。
調査背景としてマイクロソフトは、現在クラウドサービスとモバイルデバイスの活用により、ビジネスパーソンがいつでもどこでも柔軟に働ける環境が整い、それに伴って新しい働き方が登場していること。一方で、企業は「働く」環境のデジタル化における社員のニーズに十分に応えられていない可能性があることを挙げている。
アジアのビジネスパーソン4,175名に、働いている場所に関して調査したところ、「1週間の内1日以上、オフィス外で働く」と回答したのがアジア全体で71%、日本では41%という結果になった。日本ではアジア地域全体から遅れているものの、社員の働き方に変化が起こっている。
一方で、その働き方の変化への、会社としての支援はどうか。
「社員のデジタルスキルのギャップ解消に経営者がコミットしている」アジア32%、日本5%。「『働く』環境のデジタル化に向けて会社が準備している」アジア48%、日本7%。
デジタル化に向けた会社の支援において、アジア全体では過半数以上が支援できていない。日本においてはいずれの調査も1桁とさらに低い結果となり、他のアジア各国と比べても、経営者のマインド、会社の支援において日本は大幅に遅れている結果となった。
「働く」環境のデジタル化を進めるにあたり、チーム全体でデジタル化に取り組む必要がある。会社のデジタルスキルのトレーニング環境、柔軟な思考やデジタル化への変革を進めるマインドも重要だ。その課題に対し、日本のビジネスパーソンは、「新しいチームメンバーの研修に時間がかかりすぎる」が21%、「情報が複数の場所に分散」が20%と回答している。
チームワークから、コラボレーションが生まれ、ビジネスへの成長に繋がる。ではそのコラボレーション向上のために社員が期待することは何か。日本のビジネスパーソンは、「デバイスの機能向上」39%、「リアルタイムコラボレーションツールの導入」21%などと回答している。
調査から、コラボレーション向上のために、社員は最新のデバイスとツールに期待していることがわかる。プライベートのデジタルライフでは最新のデバイス、ツールを使用しているのに、会社支給のデバイスとツールは古いものだという社員の不満を表しているとマイクロソフトは考察している。
マイクロソフトは、日本企業が「働く」環境のデジタル化を成功させる鍵として2点を挙げている。1つ目は、経営者がデジタルテクノロジの活用による具体的な成果を想定し、「働く」環境のデジタル化を推進すること。2つ目は、テクノロジを使いこなすデジタルスキルを備えた人材の育成と、テクノロジを活用した目的の明確化が必要だという。