DRAMの最新規格であるDDR4 DRAMは、2016年にDRAM販売額における市場シェアの45%を占めた。それまで、DDR3 DRAMがタブレットやスマートフォン、ノートPCで用いられる低電圧版も含め、2014年84%、2015年76%と高いシェアを獲得してきたが、2016年にDDR4の価格はDDR3とほぼ同程度に下がってきたこと、PCプラットフォームのDDR4への移行などがあり、DDR4の市場シェアが増大したとの調査結果をIC Insightsが発表した。

それによると同社は2017年、DDR3の市場シェアは39%に低下するが、DDR4の市場シェアは逆に58%にまで上昇し、DDR4がもっとも高いシェアを有することになるという。

図1 アーキテクチャ別DRAMの市場シェア(ドル基準)の変遷 (2016年までは実績値、2017年は予測値)(出所:IC Insights)

2017年のDRAM市場は前年比で39%の成長と予測

Joint Electron Devices Engineering Council(JEDEC)が第4世代DDRとなるDDR4を公式に発表したのは2012年のことだが、2014年になってようやくサーバ向けならびにハイエンドデスクトップPC向けに利用が始まった程度であり、市場は限られていた。そのため、2015年にデータセンターやインターネット・サービス・プロバイダ(ISP)が自社に導入するサーバにDDR4を採用し、高性能化を図るまで、市場の拡大はなされておらず、市場シェアの2割程度に収まっていた、しかし、2016年に入ると、サーバやPCでの活用が進み、シェアを拡大。2017年は、タブレットやスマートフォンなどにも活用が進むことが期待され、市場シェアも58%にまで上昇することが見込まれるという。

ただし、DRAMの平均販売価格は2016年中ころから上昇を続けており、2016年4月には2.41ドルであったものが2017年2月には3.70ドルへと、約54%の増加となっており、今後もDRAM価格の上昇は続くことが見込まれている。そのため、IC Insightsでも2017年のDRAM市場予測を前年比39%増の573億ドルに引き上げている。

図2 DRAMの月ごとの平均販売価格の変遷 (2012年1月から2017年2月まで) (出所:IC Insights)

DRAMバブルはいつ弾けるのか?

Micron Technologyは最近、PC、サーバ、通信、車載やその他のアプリケーションからの堅調な需要を背景に、2017年度(2017年8月31日終了)の財務状況で示されるであろうDRAM事業の見通しを非常に素晴らしいものになるであろうと投資家に向けてアナウンスしている。

しかし、Micronを含む主要DRAMサプライヤとしては、DRAM価格の上昇がいつ止まり、下降トレンドに向かうのかということを心配しているという。具体的には、2017年下期に、Samsung ElectronicsとSK Hynixが、より微細化したDRAMの生産能力を高めようとしており、DRAMの価格が軟化する可能性があるためだ。 Samsungは2017年第2四半期に韓国の平澤(ピョンテク)に新設したFab18を稼働させる予定である。同Fabは月産30万枚(300mmウェハ)の生産能力があり、主にDRAMを製造する5つの生産ラインを備えていると言われている。Samsungは、同Fabで18nmプロセス技術を使用したDRAMを生産する計画である。

一方のSK Hynixは、韓国におけるDRAM生産の大半を、Fab M10からFab M14に移行した模様だ。このM14と中国の無錫にあるDRAM専用工場で、約28万枚(300mmウェハ)のDRAM生産能力を有しており、SK Hynixでは現在の21nmプロセスから、2017年後半に20nm未満のプロセスへ移行することで、ウェハからの取れ数を増やそうとしているという 。

なお、このような価格の乱高下にさらされるDRAM市場でビジネスすることは常にサプライヤにとって大きな挑戦となるが、現時点で言えることは、少なくとも2017年前半は、3大サプライヤにとってのDRAMビジネスは絶好調になると言えるだろう。