学術論文を2011年から5年間に発表した研究者のうち女性が占める割合は日本の場合20%で調査対象12カ国・地域で最も低かったことが、このほどオランダの学術出版社エルゼビア社が行った調査で明らかになった。

「ジェンダーサミット10」ホームページ(提供・JST「ジェンダーサミット10」事務局=ダイバーシティ推進室)

エルゼビア社は、1996~2000年と2011~2015年の2期間に発表された学術論文データを分析し「Gender in the Global Research Landscape」と題する報告書をまとめ、このほど公表した。報告書は92ページで、分析は多岐にわたった。このうち、論文発表研究者に占める女性の割合の調査分析は、日本のほか米国、英国、カナダ、オーストラリア、フランス、デンマーク、ポルトガル、ブラジル、メキシコ、チリの11カ国と欧州連合(EU)を対象にした。中国は入っていない。

その結果、日本は1996年からの5年間は15%だったが、2011年からの5年間は20%に増えていた。それでも調査対象国・地域比較では最低だった。他国・地域の女性比率を2011年からの5年間で見ると、比率が最も高かったのはポルトガルとブラジルの49%。次いでオーストラリアの44%、カナダの42%と続いた。米国と英国はいずれも40%だった。日本の次に女性比率が低かった国はメキシコとチリだったが、それでも38%であり、日本の低さが際立った結果となっていた。

調査対象12カ国・地域すべてにおいて、2011~2015年の女性比率は1996~2000年よりも増えており、分析担当者は「国ごとにばらつきはあるが研究分野における女性進出の問題は確実に前進している」とコメントしている。エルゼビア社によると、報告書「Gender in the Global Research Landscape」は5月25、26両日に東京都内で開かれる「ジェンダーサミット10」でも紹介されるという。

日本は研究分野での女性進出促進政策を進めており、昨年1月に閣議決定された「第5期科学技術基本計画」は研究者新規採用の女性比率を30%に高める数値目標を掲げている。

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