ネットワンシステムズ 執行役員 篠浦文彦氏

ネットワンシステムズは4月5日、アリスタネットワークスとヴイエムウェアとの戦略的提携に基づき開発するソフトウェア「SD-HCI(Software Defined Hyper Converged Infrastructure)」をコアとしたクラウドネットワークソリューションを7月より販売開始すると発表した。

説明会では初めに、ネットワンシステムズ 執行役員の篠浦文彦氏が同社のクラウドビジネスの戦略と新ソリューションの概要を説明した。

同社は国内の顧客に向け、データセンター、事業拠点、クラウドを包括的に接続するクラウド活用のためのアーキクテチャを提示することをクラウドビジネスの柱とする。その際、ソフトウェアを主軸として、コンピュータシステムとネットワークシステムを融合する。

篠浦氏は、「クラウドを利用するにあたり、単純に製品やサービスを組み合わせるだけでなく、ハードウェア、ソフトウェア、クラウドを一体化して管理するにはどうしたらいいかを考えた時、SD-HCIという新たな形のソリューションが生まれた」と述べた。

さらに、「ハイパーコンバージド・インフラ(HCI)は、サーバ・ストレージ・ネットワークが統合されたハードウェアを導入してプライベートクラウドなどを構築することになる。これに対し、SD-HCIは既存のハードウェアとソフトウェアを含めてインテグレーションを行ったうえで、パブリッククラウドとプライベートクラウドをまとめて管理する」と、SD-HCIとHCIの違いを説明した。

今年1月、3社は「SD-HCI」の提供にあたり、戦略的提携に合意したことを発表している。この戦略に基づき、アリスタは仮想ネットワークソフト「Arista vEOS」とネットワーク管理ソフト「Arista CloudVision」を、ヴイエムウェアは仮想ネットワークソフト「VMware NSX」をはじめとしたクラウド基盤製品群を提供する。

3月24日には、ネットワンシステムズのグループ会社として、「SD-HCI」のビジネスに特化した新会社「ネットワンコネクト」の設立を発表。アリスタとヴイエムウェアの製品のモジュールをベースとした「SD-HCI」の開発や提供は同社が行う。

篠浦氏は、新ソリューションの特徴について、「オンプレミスとクラウドをオープンなアーキテクチャにより、単一のポリシーで接続して容易な統合管理を実現する」と語った。

新ソリューションは「SD-HCI」のほか、同社が構成・検証済みのハードウェア、マルチクラウドとの閉域網接続を実現する「クラウドHUBサービス」、全フェーズにわたるサポートサービスから構成される。

サポートサービスは、「PLAN」「BUILD」「OPERATION」「OPTIMIZATION」というライフサイクルにわたり、各フェーズに適したサービスが提供される。

「SD-HCI」をコアとしたクラウドネットワークソリューションの概要

「SD-HCI」とともに提供されるライフサイクルサポートサービス

「SD-HCI」は、「プライベートクラウドネットワーキング機能」「ハイブリッドクラウドネットワーキング機能」「SD-WAN機能」「セキュリティ機能」「可視化(テレメトリ)機能」を提供する。

「SD-HCI」が提供する機能の概要

上記の5つの機能は段階を踏んで提供される。第1弾としては、今年7月に、プライベートクラウドのアンダーレイネットワークとオーバレイネットワークを統合するデータセンター向けのソリューションの販売を開始する予定。

同ソリューションは、「SD-HCI」のプライベートクラウドネットワーキング機能、ネットワンシステムズで検証・構成済みのデータセンタースイッチやサーバなどのハードウェア、ライフサイクルサポートサービスから構成される。

同ソリューションにおいては、ソフトウェアとハードウェア間の連携がパッケージとして実装済みであるため、運用管理の負荷とコストが削減されるという。

今年7月に販売開始予定のデータセンター向けソリューションの概要

今年10月には、「SD-HCI」にハイブリッドクラウドネットワーキング機能とセキュリティ機能を追加し、「クラウドHUBサービス」と連携することで、セキュアなハイブリッドクラウドの活用を実現する予定。

来年の初めには、「SD-HCI」にSD-WAN機能を追加して拠点からのクラウド活用を支援するほか、可視化(テレメトリ)機能を組み込んで障害の予防検知を実現してクラウドネットワーク全体の可用性を向上する予定。

説明会には、Arista Networks グローバルオペレーションズ&マーケティング担当 上級副社長のマーク・フォス氏とヴイエムウェア ソリューションビジネス本部 本部長の小林素子氏も出席した。

小林氏は「われわれのVMware NSXは全世界で2400社以上の顧客がおり、SDN市場をリードしている。しかし、正直なところ、これまで当社が主戦場としてきたサーバ仮想化製品の担当者担当者とネットワーク仮想化製品の担当者は異なり、われわれだけでネットワーク仮想化製品を提案するのは難しい。ネットワークビジネスで実績を持つネットワンシステムズに期待したい」と述べた。

左から、Arista Networksのマーク・フォス氏、ネットワンシステムズの篠浦氏、ネットワンコネクト 代表取締役社長 平河慎二氏、ヴイエムウェアの小林氏