電通は3月31日、テレビの実視聴ログに基づくデジタル広告配信・効果検証の統合マーケティングプラットフォームである「STADIA」(スタジア)の機能を拡充し、オフラインとオンラインを横断したデータドリブンマーケティングの実践を本格化していくと発表した。
2016年3月に開発した「STADIA(β版)」は、テレビCMやデジタル広告への接触に伴うサイト送客や会員登録といった行動喚起、また認知醸成や興味喚起といった態度変容の効果検証と改善施策を導くツールであると同時に、テレビの実視聴ログデータに基づき個々の視聴者に向けてデジタル広告配信が行える統合マーケティングプラットフォーム。
同社はSTADIA(β版)を通じて、さまざまな広告主に対して実データに基づくオフラインとオンラインの統合プランニングと効果検証を行ってきたが、4月から正式版としてリリースすることにした。
正式版は「広告配信先の拡充」「データの規模拡大と各社調査パネルとの連携拡充」「AI(人工知能)を活用しテレビ視聴状況を推定するエンジンを開発」の3点の機能拡充を行った。広告配信先の拡充では、従来のGoogleなどが提供するDSP(デマンドサイドプラットフォーム)に加え、Facebook、Twitter、Yahoo! JAPANなどデジタルプラットフォーマーとの連携により、広告配信先を拡充したという。
データの規模拡大と各社調査パネルとの連携拡充については、2017年3月時点で広告配信の許諾の取れたテレビ受信機約50万台の実視聴ログデータなどと紐づくウェブオーディエンスデータを約1000万IDに拡大するとともに、各社の調査パネルと連携することで、詳細なオフラインとオンラインを結ぶ統合アトリビューションの効果検証を可能とした。
AI(人工知能)を活用しテレビ視聴状況を推定するエンジンを開発に関しては、テレビの実視聴ログに対してディープラーニングなどのAI技術を活用することで、テレビをあまり見ない"ライトビューア層"に関する精度の高い推定や、性・年代などのデモグラフィック情報を推定することが可能になり、これらに基づくデジタル広告配信を実現するとしている。
今後も同社は「STADIA」の機能拡充と、パブリックDMP「dPublic」との連携を通じ、テレビを起点としたマスメディアデータとデジタルのオーディエンスデータ、購買データをもつなぐカスタマージャーニー(顧客の行動動線)を描くことで、個々人に対する最適な広告コミュニケーションを実現していくという。