ワコムとタグキャスト(TAGCAST)は3月23日、デジタルペンに装着したカメラ・モジュールで撮影した写真データに、設備内に設置したビーコンから取得した屋内位置情報を紐付けし、タブレット端末に表示した図面上に張り付けることができる検査・報告システムを開発したと発表した。
新システムは、デジタルペンとカメラ・モジュールを組み合わせた専用の「InspectionPen feel by Wacom」及びタブレット端末で構成しており、既に設置済みまたは必要に応じて新たに設置するTAGCASTのビーコンから受信した位置情報を使って機能する。 ペンとタブレット端末一式の価格は15万円(税別)。
同システムでは、デジタルペンに装着したカメラ・モジュールで撮影した画像に、位置情報を発信するTAGCASTの「電池ビーコン」、または特定テーブルごとに位置情報を発信する「ペーパービーコン」からの情報を組み合わせて、タブレット端末上での表示を、より簡単・正確・迅速に行うことを可能にするもの。
InspectionPen feel by Wacomは、指摘箇所をペンに装着したカメラで撮影後、その場でペンを経由してタブレットに画像を送信し、図面の該当箇所に貼り付けられる。また、貼り付ける画像内にペンで指摘事項を書き込むこともでき、迅速かつ直感的にレポートを作成できる。
撮影した画像には位置情報に加えて日時やペン利用者のIDなども記録できるため、業務の効率化に加えて、情報のトレーサビリティ(追跡性)も確保できるとしている。
また、TAGCASTのビーコンが提供する位置情報は、数cm単位での位置関係、高さ(建物の何階かなど)まで読み出すことができるといい、GPSデータより詳細かつ実用性に富んだ位置情報を正確に提供できることが特長という。
同システムは、建設現場の進捗管理、工場の設備管理や機材類の整備、スーパーマーケットなどの陳列管理など、施設・建物における設備・装置類の状態を検査・報告する際、作業効率の向上に役立つと両社は期待している。
同システムの販売と保守・顧客サポートはTAGCASTが行うが、販売代理店による提案やフィジビリティ・スタディ(実用性の調査)が目的という。
InspectionPen feel by Wacomのモジュール単体では市販の予定は無いとのこと。 TAGCASTテクノロジーで図面を自動表示する場合は、月額500円(税別)からで別途導入可能としている。
なお、同システムは、Microsoft Innovation Award 2017の「ファイナリスト」に選出された。