Texas Instruments(TI)の日本法人である日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は3月23日、絶縁型電源を内蔵し、既存の統合型デバイス比で80%高い効率を提供する1チップ強化絶縁アイソレータ製品「ISOW7841」を発表した。
近年の、IoTやスマートファクトリーの進展に伴い、機器間におけるデータでのやり取り頻度が増え、より正確な通信を実現するために外乱を抑えることが求められるようになっている。また、産業機器に代表されるような高電圧環境から人を守るためにも絶縁は必要となっており、アイソレータの活用が進められている。同社でも、この数年、絶縁型電源を内蔵する製品など、統合型のアイソレータを提供してきているが、TIにてIsoration Products,WW Marketing Managerを務めるGina Hann氏は「単に統合しただけでは、カスタマニーズに沿わないことがあり、電源効率を向上させたり、放射ノイズを改善するなどの工夫に努めてきた」と、単に統合を進めてきただけではないと説明する。
そうした動きの中において同製品は、ダブルキャパシタアーキテクチャの採用による強化絶縁の実現ほか、低放射ノイズ化ならびに高ノイズ耐性化を実現しており、実際に高効率化の比較として、他社のピン互換の電源内蔵型製品と比較したところ、最大40℃(80mA@5V)ほど、同製品の方が発熱が低いことを確認したとのことで、温度が低くなったことで信頼性を向上させることができるようになったほか、大容量転送や多チャネル化も容易になるとしている。
また、従来ソリューションでは外付けの絶縁電源が必要であり、11-12個ほどの外部コンポーネントを搭載する必要であったが、同製品はデカップリング2個のみで済むため、ボード面積の削減とBOMコストの低減が可能だという。
なお、同製品を搭載した評価モジュール(EVM)「ISOW7841」は49ドルで提供を開始しているほか、絶縁されたRS-485およびRS-232用の信号と電力の統合リファレンス・デザインも提供もすでに開始しているという。また、ISOW78xxシリーズとして、チャネル数が異なる製品「7840/7842/7843/7844」(最大4ch)も2017年中に提供を開始する予定としている。