ダッソー・システムズは22日、2017年の事業戦略に関する記者説明会を開催。その中で、2017年4月より国内において、都市計画ソリューション「3DEXPERIENCity」を開始することなどを発表した。
まちづくりの協業プラットフォーム「3DEXPERIENCity」
「3DEXPERIENCity」は、市民や行政、企業など、多様なステークホルダーの視点を都市再生の中心に据えた3Dコラボレーション環境。ソリューションとしての販売はこれからだが、シンガポール政府と同社との共同開発によって、3Dデータによる「バーチャル・シンガポール」が実現されつつある。活用例として、シンガポールでは自動車ではなく自転車を使った移動を勧める「bike to the future」を推し進めているが、その中で自転車を用いて移動することを前提とした道路の整備状況や風景を検証していることを挙げた。
同ソリューションは、日本政府が提唱する都市のデジタル化推進スローガン「Society 5.0」に呼応する形で、国内において展開されるという。同社の鍛治屋代表取締役社長は、「日本の自治体は都市のデジタル化という課題に対して、街並みを3D化してわずかなシミュレーションを行うにとどまっている。これにビッグデータを加えることで、再開発に効果を与えることが可能となる」と語った。
また、同ソリューションの販売目標について、今年度はソリューション導入・運用が可能なだけの財政基盤を持つ都市1件と契約を行うことを目指す。それとは別に、「まちづくりの検討にあたってジオラマを制作したいが、後の変更に対応できる3Dで行いたい」という小規模な自治体からのオファーにも応えていきたいとしている。
クラウド製品の販売を拡充、サブスクリプションにも対応へ
これに加え、同社が推進する「3DEXPERIENCE」プラットフォームについて、同年度はクラウド版製品の販売を強化することを発表。日本法人では中小企業やスタートアップのニーズに合わせた販売活動を推進していく。
また、クラウド製品の販売強化にあたり、これまでのライセンス提供に加え、サブスクリプション方式の採用も開始することを明かした。オートデスクなどの大手企業が全領域でのサブスクリプション方式への転換を図っているが、ダッソーでは「大幅な方針転換はパートナーの収益の根幹を変えてしまう」(同氏)ことから、サブスクリプションへの一本化は行わないという。