ノーベル物理学賞受賞者の小柴昌俊(こしば まさとし)東京大学特別栄誉教授が理事長を務める「平成基礎科学財団」が20日、卓越した理科教育を推進して実績を上げた教育者を顕彰する「小柴昌俊科学教育賞」の第13回表彰式を東京大学で開いた。優秀賞に大阪府立高校の定時制課程が行った科学部の活動が選ばれた。同財団は今月末で解散することが決まっており、最後の表彰式となった。

優秀賞の授賞対象は大阪府立春日丘高等学校定時制課程による「科学部の部屋で重力を操る宇宙環境の作成と研究」。「定時制という多様な学生の積極的参加で、自由落下による重力装置を製作して微小重力下で磁気力の測定を行っている先進的なプログラム」が評価された。同校で指導していた久好圭治(ひさよし けいじ)さんが代表で受賞した。このほか宮城県仙台第三高等学校による活動など3件に奨励賞が贈られた。

同財団はまた、小柴さんの弟子で早くして亡くなった研究者の名を冠し、素粒子研究の理論や実験で優れた業績をたたえる「折戸周治(おりと しゅうじ)賞」「戸塚洋二(とつか ようじ)賞」の同様最後の表彰式も20日実施した。折戸周治賞には高エネルギー加速器研究機構の照沼信浩(てるぬま のぶひろ)教授が、戸塚洋二賞には大阪大学大学院理学研究科の中村聡(なかむら さとし)特任助教ら3人がそれぞれ選ばれた。

同財団は、2002年にノーベル物理学賞を受賞した小柴さんの受賞賞金などを基に03年に発足。理事長に小柴さんが就任したほか、理事に08年と15年にそれぞれノーベル物理学賞を受賞した小林誠(こばやし まこと)名古屋大学特別教授、梶田隆章(かじた たかあき)東京大学宇宙線研究所長・特別栄誉教授ら日本を代表する学者が名を連ねた。その後表彰事業や高校生らを対象にした「楽しむ科学教室」を開いて科学の啓蒙活動をしてきた。しかし賛助会費の減少による財政難や役員の高齢化などを理由に昨年秋に今年度での解散を決めていた。

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