西日本電信電話(NTT西日本)は3月17日、大阪府警察の協力を受けて、VR(バーチャル・リアリティー)技術を利用し臨場感ある近未来型の交通安全教育を体験できる「VR自転車交通安全教室」のトライアルを実施すると発表した。期間は同日から2018年3月末までの予定、実施地域は大阪府内(今後拡大予定)。

体験画面のイメージ(自転車視点)

同・自動車視点

同・全体俯瞰視点

昨今、交通事故は減少傾向にあるが、とりわけ大阪府内においては自転車が関連する交通事故の割合が全国平均を上回っており、そのうち15~19歳の年齢層における負傷者数が最多となっているという(大阪府警調べ、2016年中)。

自治体や交通安全協会、学校などは、若年層の自転車交通事故防止に向けて、交通安全教育を積極的に展開しているというが、事故の疑似体験を行うような体験・参加型の教育を実施する場合、場所の確保や当日の天候、体験者の積極性に課題があったとしている。

このような状況の中、「いつでも、手軽に、臨場感ある」交通安全教育の実現に向けて、ICTのノウハウを持つNTT西日本は、自転車交通安全に関する多くの知見を持つ大阪府警察の協力を受けて、今回のトライアルの実施に至ったという。

同トライアルは、出会い頭の事故(信号の無い交差点)・交差点における自動車の左折巻込み事故・路側帯から車道への進出事故の3つの自転車事故発生状況をVRで疑似体験し、その危険性を、あたかも自身の体験のように感じることにより、交通安全の理解促進に繋げる取り組みという。

同社は同トライアルの特長として、現実感のある事故体験、交通安全の客観的チェック、交通安全教育にかかる運用負担の軽減の3点を挙げる。

事故体験に関しては、体験者はヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)を通じて、3DCGで再現した街並みの中で、臨場感ある交通事故の疑似体験が可能という。

体験者は自転車の視点・自動車の運転視点・全体俯瞰視点のマルチ・アングルから事故の状況を確認できるとのこと。大阪府警察が教育コンテンツの制作に協力しているため、より現実に即した事故状況の学習が可能としている。

交通安全の客観的チェックについては、体験者の視界を追跡・分析することで、周囲の状況に気を配れているか、安全確認を正しく行っているかなどの、多様なポイントをチェックでき、習得率の向上を期待できるという。

運用負担の軽減に関しては、インターネット接続環境とモバイル端末、ヘッドマウントディスプレイなどがあれば、場所を選ばず交通安全教育の受講が可能だという。Wi-Fiネットワークを利用してコンテンツを配信し、複数の端末を同期させることで、一斉に体験を開始させることが可能としている。なお、操作端末1台につき最大5台まで一斉操作が可能とのこと。

同トライアルでは、大阪府内で実施している交通安全教育で「VR自転車交通安全教室」を体験してもらい、体験者の要望や技術検証の結果から、VRコンテンツや配信システムなどのさらなる充実を図っていくという。