日立国際電気と京都大学(京大)は3月16日、広域系無線地域ネットワーク(Wireless Regional Area Network:Wi-RAN)システム用無線機の小型化ならびに基礎開発に成功したと発表した。
広域系Wi-RANシステムは、伝送レートは数Mbpsの伝送を実現しつつ、基地局から数km離れていても通信が可能であるため、地域に局所的に設置されたモニタやセンサ情報を、クラウドに伝送する基幹回線として期待されている。しかし、従来の無線機は、自身で中継機能を有していないことが、数十kmといった広域かつ広帯域なデータ収集システムを構成する障壁となっていたほか、装置の小型化、軽量化も求められていたという。
今回開発された無線機は、従来の広域系Wi-RANシステム用無線機の伝送速度を保ちつつ、従来に比べて約1/5の容積、約1/4の重量と小型・軽量化を図り、かつ中継段数無制限のスケーラブルな多段中継機能を搭載したことで、通信距離を数十km級に拡大させることを可能としたもの。京大が無線通信プロトコルおよび無線信号処理ソフトウェアの開発を行い、日立国際が、同プロトコルと信号処理ソフトウェアの装置への搭載を担当したという。
また、従来のWi-RAN装置では2台の無線機を用いる必要があった無線多段中継を1台の無線機で行うことが可能になったとも説明しており、これらの機能などを活用することにより、数十kmに存在する数百から数千のモニタ、センサから創出されたビッグデータを処理エンジンが搭載されたクラウドまで伝送する超ビッグデータ創出ネットワーク基盤の構築の研究開発が促進されることになると両者では説明しており、今後、同装置の実フィールドでの実証試験、ならびに商用化に向けた機器試験などを行っていく予定としている。