日立製作所と金沢大学は3月16日、自動運転機器の誤作動の原因となる電磁ノイズの発生源を、ポインティングベクトルの手法を応用し、同一地点で、3次元の電界と磁界を同時計測することで特定可能な小型センサを開発したと発表した。同成果の一部は、2017年3月22日~25日に名城大学で開催される「2017年電子情報通信学会総合大会」で発表される予定。
同センサは、従来、磁界の計測にのみ使用されていたループアンテナを、同一平面上に2つ並べた対の構造とすることで、ループアンテナ間で発生する電界の同時計測を可能としたほか、対になったループアンテナを3つ組み合わせ、中心の電磁ノイズ検出回路によりデータを一括取得する構造とすることで、電界と磁界のデータを同時に、縦・横・奥行き方向の3次元で取得することを可能とした。ループアンテナが直交する構造のため、互いに干渉することがなく、計測精度を向上できたとするほか、対構造のループアンテナの中心部に検出回路を集約できたため、センサを110mm四方に小型化することができたとする。
実際に、今回開発されたセンサを用いて、200kHz~10MHzの低周波数帯域の電磁ノイズの方向推定を行ったところ、実際の方向と2度以下の誤差で検知可能であることを確認したとのことで、これはセンサから発生源までの距離が3mの場合、10cm以下の誤差になるという。
なお、研究グループでは、今回、センサの小型化が実現できたことにより、自動車や鉄道車両などへ複数のセンサを設置することができるようになったことに加え、複数のアンテナを組み合わせた構造にすることで、経年劣化が進んだ機器から発生する低周波数帯域の電磁ノイズの方向を高精度に検知し、その発生源を正確に特定することも可能となったことから、これにより電磁ノイズを常時監視し、走行制御に関わるセンサデータの欠落を予防することが可能となり、自動運転機器や交通システムなどの誤作動リスクを回避できるようになるとしており、今後も協力して電磁ノイズを検知するセンシング技術の適用を進めていくとしている。