アルバックは3月15日、研究開発現場での使い勝手を最優先に開発した20mm角基板対応の複合スパッタリング装置「S-QAMシリーズ」を開発したと発表した。

同製品は、上位モデルQAMシリーズに搭載されている2インチカソードを小型化し、0.2Pa以下の低圧放電、ロングスロースパッタ(基板/カソード間距離:150mm)および、さまざまな材料(磁性体、非磁性体、絶縁体など)を成膜することが可能な1インチカソードを開発することで実現したもの。カソードの小型化に伴い、ターゲットコストも2インチ比で半分に抑えることが可能だという。

また、カソードの最大6元搭載が可能であり、対向成膜により多種の材料から成る積層膜を大気開放することなく一貫して成膜することができるほか、2つの材料を同時に成膜することも可能だ。さらに、基板/カソード間距離(T/S)を50mm~150mmの範囲で設定できるため、プラズマダメージ、成膜レート、基板への温度影響など目的に応じたシーンに柔軟に対応することができるほか、使用温度に応じて選択可能な加熱機構を採用。常用300℃ヒーターのほか、高品質な薄膜試料の作成に必要な基板面上でマイグレーションを起こすのに十分な高温(常用700℃対応)ヒーターがラインアップされている。

なお、自動制御機能も標準装備しており、各積層膜に対して最適化されたプロセス条件で連続的な処理を行うことを可能としているほか、スマートフォンやタブレットによるリモートモニタリング機能も追加可能だという。

研究開発用複合スパッタリング装置「S-QAMシリーズ」の外観(左)と、チャンバー内部(右)。最右はチャンバー内部のカソードシャッタカバーを外した状態