東北大学災害科学国際研究所は国連開発計画(UNDP)、富士通と巨大災害被害の低減を目指す共同プロジェクトを開始したと9日発表した。世界中のさまざまな災害データをデータベースとして蓄積、膨大なデータを解析してその結果を各国に提供するという。2年前の国連防災世界会議で採択された「仙台防災枠組」の推進を目指す試みだ。

図 巨大自然災害の被害低減目指す共同プロジェクトの概念図(提供・東北大学/東北大学災害科学国際研究所)

災害科学国際研究所とUNDPは2015年4月に「災害統計グローバルセンター」(GCDS)を同研究所内に設置した。共同プロジェクトは、今後のGCDS業務の柱の一つとなる。東日本大震災をはじめ世界中で過去に発生、将来発生する巨大自然災害の膨大なデータを収集する「グローバル・データベース」(GDB)をまず構築し、構築後はデータを解析してその結果を、UNDPを通じて各国に提供する。巨大災害が起きた際の被害を低減する防災対策に役立ててもらうことを目的としている。

富士通はこのGDBを無償で設計、構築するほか、GDB運営資金や活用なども支援。災害科学国際研究所は、各国の災害データの蓄積や解析などを、UNDPは解析結果を発展途上国の防災対策に生かす政策立案支援などをそれぞれ担当する。

2011年3月の東日本大震災の後も世界中で大きな自然災害が頻発、甚大な被害を出している。特に発展途上国での被害は持続可能な開発や経済・社会発展を妨げる大きな要因になっている。2015 年 3 月に宮城県仙台市で「第3 回国連防災世界会議」が開催されて 「仙台防災枠組」が採択された。仙台防災枠組は、災害による死亡者数や被災者数のほか、経済損失、社会インフラ被害を削減することなどを盛り込んだ7つの目標を設定している。会議では2030 年の目標達成を目指して世界各国が取り組むことで合意した。

災害科学国際研究所とUNDPは、これらの目標の進捗状況をモニタリングし、達成状況を評価するためには各国の災害被害統計データを整備する必要があるとの認識で一致し、今回の共同プロジェクト計画につながったという。このプロジェクトに参加する3者は仙台防災枠組の推進を通じて世界の巨大災害の被害低減に貢献したい、としている。

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