北海道大学は9日、同学大学院理学研究院生物科学部門 相馬雅代准教授と同学大学院生命科学院 岩間翠准教授の研究により、文鳥は雌雄でダンス・デュエットを行うことで、相互に配偶者選択をしていることが明らかになったと発表した。この研究成果は、研究結果は同日、米国オンライン科学誌「PLOS ONE(プロスワン)」に掲載された。

動物の雌雄が交わす「デュエット行動」(二者による歌唱やダンスのこと)は、これまでの研究で、主に鳴禽類(歌鳥)の歌については「息の合った」振る舞いが、つがい間のコミットメントの確認および配偶者防衛として機能することが判明していた。しかし、鳴禽類以外では鶴のように雌雄でダンスによるデュエットを行う鳥は存在するものの、その役割についてはよく分かっていなかった。

この研究では、初対面の文鳥の雌雄がどのような行動を交わすか、歌およびダンス行動と交尾に焦点をあてて解析を行った結果、(1)雌雄間でダンスのデュエットが交わされると、オスのみあるいはメスのみしかダンスしない(一方向的な求愛ダンス)時と比較し、直後の交尾成功は高くなること、(2)メスはオスの求愛歌を聴かなくても、ダンスやデュエットすることで高い確率で交尾誘発姿勢(交尾受け入れの姿勢、メスの選好の指標)をとること、(3)ダンスはオス、メスどちらからも開始する場合もあり、どちらから開始してもその後のデュエットに至るかどうかや交尾成功には影響しないこと──が明らかとなった。

文鳥の求愛には「ダンス・デュエット」が大きな役割を果たしていることが判明

これらの結果は、求愛ダンスが雌雄双方向的なコミュニケーションとして機能していることを意味している。また、従来歌鳥の求愛は歌が主要な役割を果たしていると思われがちであったが、少なくとも文鳥においてはダンスが求愛に大きな役割を果たしていることが判明したという。

鳴禽類の歌デュエットは「つがいの互いに対する忠誠」を反映し、配偶者防衛に役立つとされていた。これは長く連れ添った仲の良いつがいでないと「息の合った」行動がとれないためだ。この研究では、ダンス・デュエットが雌雄間でどれだけ同調しているか、タイミングに関しては解析していないものの、初対面からつがいの形成と持続まで時間を追って同調性の変化を解析することで、求愛ダンスの雌雄間コミュニケーションにおける役割がさらに明らかになることが期待される。