コンカーは3月10日、他のシステムと連携しながら、出張の予約から精算までを効率化する「コンカー、パーフェクトトリップ・ネットワーク」構想、および、JTBビジネストラベルソリューションズ(JTB-CWT)と提携し、「日本版ビジネストラベル・マネジメント(BTM)サービス」の普及を推進していくと発表した。

「コンカー、パーフェクトトリップ・ネットワーク」は、ホテルや航空券などの自社の予約システム「Concur Travel」だけでなく、JTBやじゃらん、ぐるなび、タイムズなど、他社が提供する予約システムと連携しながら、コンカーの旅程管理システムに取り込み、最終的にコンカーの経費精算システムである「Concur Expense」につなげ、利用者にワンストップサービスを提供、出張業務を効率化しようというもの。

「コンカー、パーフェクトトリップ・ネットワーク」

「コンカー、パーフェクトトリップ・ネットワーク」の価値

予約機能について同社はすでに「Concur Travel」を提供しているが、こちらは海外出張のみ対応のため、同社にはない国内出張の予約については、各社予約サイトと連携して提供する。両システムからの情報は、新たに開発するモバイルアプリ「TripIt」や、すでに提供している「Concur Mobile」に取り込み、旅程管理機能を提供する。

出張に関連したクラウドサービス連携。黄色の部分が新たに提供する「TripIt」と他社の予約サイト情報を取り込める「TripLink」

「TripIt」では旅程の共有のほか、航空機の遅延、ゲート変更などのアラート通知、希望シートの空き情報通知、マイレージポイント管理などが行える。「TripIt」は、英語の無償版はすでに提供しているが、アラート通知に対応した英語の有償版は来年、日本語の有償版はそれ以降の提供になる。

「TripIt」の概要

「Concur Mobile」と「TripIt」の機能差

また、「Concur Mobile」はこれまで「Concur Travel」の情報のみを取り込み可能であったが、国内出張向けの他社の予約サイトの情報を取り込めるように「TripLink」を提供する。

「TripLink」で、外部サイトの情報を「Concur Travel」「TripIt」「Concur Expense」などに情報を取り込む

「TripLink」では、APIによる連携も行うが、ユニークなのはメール連携だ。航空券や鉄道、ホテルをWebで予約すると、予約した内容が記載された完了メールが送付されるが、コンカーでは、この本文構造を解析し、内容を「Concur Travel」に取り込む。

「Concur Travel」「TripIt」の機能差

現状は、ANA、JAL、JR東海のみに対応するが、今後、他のエアーラインや鉄道会社、ホテルチェーンに対応する。

メール連携を行う予定の予約サイト

コンカー 代表取締役社長 三村真宗氏

コンカー 代表取締役社長 三村真宗氏は、今回のソリューション提供の狙いについて、「欧米に比べ、日本の法人はITの業務活用が進んでいない。今後は国内ではこれまでの経費精算に加え、出張分野にも注力し、この分野に変革をもたらしていきたい」と語った。

同社では、同社の経費精算システム「Concur Expense」を導入している企業を対象に、BTMサービスを導入していく予定だ。

JTB-CWTとの提携では、共同でConcur Travelの販売から導入までのプロセスのサポートを行う。またJTB-CWTは、導入にあたる各種コンサルティングとサポート、及び稼働後の発券、精算、トラベルプログラムの最適化に至る一連のサービスを提供することで、Concur Travelを軸とした海外出張管理の高度化を実現するという。

また、両社は相互の人材交流やトレーニングを通じてJTB-CWTの旅行業界における知見と、コンカーのConcur Travelの製品知識に長けた人材の育成を強化し、Concurソリューションを軸としたBTMサービス提供体制の強化を図る。

コンカーでは、従業員3000名以上で海外事業比率50%以上の企業、従業員1000名以上で海外事業比率50%以上の企業、従業員1000名以上で海外事業比率25%以上の企業という順番で優先度を付けてBTMサービスの普及を図り、今後3年間で100社の受注を目指すという。

コンカーの三村真宗社長と、JTBビジネストラベルソリューションズ 取締役 営業担当 中村一郎氏