米IBMと米Salesforce.com(セールスフォース・ドットコム)は3月6日(現地時間)、AIを利用する共同ソリューションの提供及び、企業がよりスマートな意思決定をこれまでより迅速に行うことを支援するためのグローバル戦略パートナーシップを発表した。
今回の提携により、IBM WatsonとSalesforce Einsteinがシームレスに連携し、セールス/サービス/マーケティング/コマースなどを横断する、新しいレベルのインテリジェントな顧客とのエンゲージメントを実現するという。
またIBMは、WatsonとSalesforce Einsteinを組み合わせた機能をユーザー企業が迅速に導入できるよう支援するため、同社のグローバル・ビジネス・サービスにおけるSalesforce向けの新たな手法にも戦略的に投資していく。
これにより、Watsonからの新しいインサイトをSalesforceのIntelligent Customer Success Platformに直接取り込んだり、Salesforce Einsteinから得た顧客に関する深いインサイトと、多くの情報源及び天候、ヘルスケア/金融サービス/小売などの業界にまたがるWatsonの構造化データ及び非構造化データを組み合わせたりといったことが可能になるという。
WatsonとEinsteinが一体となって、情報を取り込み、推論し、レコメンデーションを導き出すことにより、意思決定を加速し、より大きなカスタマー・サクセスへと導く。
両社は最初の取組みとして、IBM WatsonとSalesforce Einsteinの連携、「IBM Weather Insights for Salesforce」、「IBM Application Integration Suite for Salesforce」、IBM戦略サービスへのSalesforce向けサービスの追加を提供する。
WatsonとSalesforce Einsteinの連携では、Watson APIによりSalesforceと連携することで、企業内外の非構造化データからの予測的なインサイトと、Salesforce Einsteinがもたらす顧客データからの予測的なインサイトを組み合わせ可能になり、よりスマートで迅速な意思決定を実現するという。
例えば、Watsonの地域的なショッピング・パターン/天候データ/小売業界データと、Salesforce Einsteinの顧客固有のショッピング・データ及び嗜好を組み合わせることで、小売業者は、高度にパーソナライズしローカライズしたキャンペーン・メールを、顧客に自動送信できるとしている。
IBM Weather Insights for Salesforceは、IBMの子会社であるThe Weather Companyが、顧客とのやり取りや業績などに関係する気象情報を提供するためのアプリを、Salesforce AppExchangeで提供する新しいLightningコンポーネントとして提供するもの。
例えば保険会社は、IBM Weatherから得た地域の天気予報データをSalesforceに取り込み、悪天候の影響を受けるリスクにさらされている顧客に、安全情報と契約情報を自動的に送信できるという。
IBM Application Integration Suite for Salesforceでは、ユーザー企業はSalesforce向けに特化した統合製品により、オンプレミスの企業データとクラウド上のデータをまとめたり、Salesforceのインテリジェントなカスタマー・サクセスプ・ラットフォームで直接これらのデータを生成したりといったことが可能になるとしている。
例えば資産アドバイザーは、個人の投資案件やリスク・プロファイルなどの顧客のデータと、Application Integration Suiteの金融動向や公的なマクロ経済情報をSalesforce内で統合し、顧客にとってよりスマートな意思決定を行うことができるという。
IBM戦略サービスへのSalesforce向けサービスの追加に関しては、IBMの子会社であるBluewolfが、WatsonとSalesforce Einsteinを組み合わせた機能をユーザー企業が迅速に導入することを支援する新たな業務を開始したとのこと。
この新しい組織は、Bluewolfの15年にわたるSalesforceのインプリメント経験を基に、数々のSalesforceの顧客に対してWatsonの導入を担当するという。
なお日本では、日本IBMのグローバル・ビジネス・サービス インタラクティブ・エクスペリエンス事業部が同サービスを提供する。
またBluewolfは、コグニティブ・アプリケーションの導入を加速するユーザー企業向けの、業界に特化した新しいアクセラレーターも開発するとのこと。
今回のパートナーシップの一環として、IBMはSalesforce Service Cloudを全社に導入展開することで、グローバルな製品サポート・サービスを変革し、全ての同社ユーザーに対して単一で一元化した対応が可能になるとしている。