世界の5歳未満児の死因の約4分の1を大気、水汚染などの環境要因が占める、とする報告書を世界保健機関(WHO)が6日発表した。環境悪化による子どもの死亡はアフリカや東南アジアなどの発展途上国に集中しており、WHOは各国政府に環境汚染を改善する取り組みを求めている。
WHOはさまざまなデータを分析し、2012年に世界の約170万人の5歳未満児が大気や水の汚染などの環境要因で死亡したと推定した。その割合は5歳未満児の全死亡例の約4分の1。環境悪化による子どもの死因の内訳は、呼吸系疾患が約57万人で一番多く、大気汚染による肺炎のほか妊婦の喫煙や受動喫煙も原因の1つだった。
報告書また、不衛生な水がもたらす疾患も主な死因で、下痢を伴う疾患で約36万人が死亡。このほか早産などで乳児約27万人が、また不衛生な環境が関係する感染症のマラリアで約20万人が、有害物質中毒や劣悪環境が関係する溺死などの事故でも約20万人がそれぞれ死亡したと推定。途上国以外の国では携帯電話の不適切なリサイクルにより排出される有害物質が子どもにさまざまな健康被害を及ぼす可能性も指摘した。
報告書は各国政府に求める取り組みとして、クリーン燃料の使用、有害化学物質が含まれる建材や塗料、殺虫剤などの削減のほか、清潔な水を提供できる施設の確保などを挙げている。WHOのチャン事務局長は報告書の中で「汚染された環境は幼児にとって致命的だ」などと強調している。
国連の「持続可能な開発目標」(SDGs)は、17の分野別目標の多くで世界の子どもを取り巻く環境改善を重要課題に掲げている。
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